2013年7月16日火曜日

HMGセミナー 第12章:ポストゲノム時代の遺伝子機能の研究(前半)

担当:寺嶋
参加者:9名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<12.1節>現在の遺伝子機能の研究の概要
<12.2節>配列相同性検索、データベース検索、モチーフやドメインによる検索といったバイオインフォマティクスからのアプローチ

議論点:
これからどの総合的な解析(オミクス)の研究が面白くなっていくのだろうか


バイオインフォマティクス
 -オミクスのどの分野でも出来る

過去十年間はゲノムが主流だった
 →今の主流、他のに移行するのだろうか
 →ゲノムのイメージが変化している
-遺伝子は、昔はタンパク質をコードするものであったが、今はRNAも重要であることが分かっている
   →生存上重要性の低い部分が分かってきただけかも
    →ある生物を生物足らしめるという意味での重要性が判明しているのでは
     →シス配列による調節の違いが大きいのではないか

ヒトとチンパンジーはゲノムがあまり違わないので、ゲノムだけを見て個々の生物としての決定的な違いを見つけることは難しい

RNAやタンパク質よりも、元となるゲノムを見てゲノムの意味を考えるのはどうか

無脊椎動物ではトランスクリプトームが主流
 -ゲノムが大き過ぎて大変
  -純系を作るのが大変
   →ゲノムを1つに定めないと他の実験に使えない
    -サンプルを用意するだけでも大変
    →特定の遺伝子だけの大雑把な解析ならゲノムでも出来そう

トランスクリプトーム解析
 -発現量の解析
  -環境が重要になってくる
 -ゲノムの代用品

医学的応用ならタンパク質、進化の研究ならゲノムというように用途が分かれそう

ヒトのトランスクリプトーム解析はよく調べられている
 -プロテオームやメタボロームの段階に進めそう

メタボローム
 -結果を先に見る逆遺伝学的な手法が主流
 -食料は代謝産物が多いので重要かもしれない

アレルギー
 -リピドームとか
 -セルコミュニケーション等が重要そう

ゲノム至上主義
 -全ての生物のゲノムを全て読んだら終わるのだろうか
  -100年くらいあれば可能
   →ハードディスクが足りないかもしれない
    →差分を取ったり、技術の進化で何とかなるのではないか
    -圧縮
    -ツリー番号
     →検索が速い
     →進化という点から見ても重要
 -20年後くらいの未来
  -中国人全員のゲノムを読むとかありそう
   -オリンピック関連とか、国をあげて取り組みやすそうな要素があればあり得るかも
  -アメリカもゲノムを読むのが主流になりそう
  -個人の判別とかも出来るようになりそう

1000人プロジェクトは終了している
 -100万人プロジェクトも進行している
 -4かけくらいで読んでいる
  -傾向だけを掴むならそこまで詳細には読まなくてもよい
   →個人であればしっかりと読む必要がある

シークエンサーの未来
 -10年で世代はどの程度進むだろうか
  →2世代くらいは進むかもしれない
 -過去〜現在までで開発されている世代
  -次世代:電気泳動不要
  -第3世代:PCR不要
  -第4世代:合成不要
 -未来の世代に求められる要素
  -抽出しない
  -増幅しなくても読める
   -DNAを伸ばしながら読む
  -生体内で観察
   -ナノテクノロジーでできそう
    -合成されていく様子を観察できないだろうか

その他の議論点:

<遺伝子の機能の分類>
遺伝子オントロジーは曖昧な部分がある分類であるが、どこまで有効なものなのか
遺伝子の機能の分類は3種類で十分なのだろうか

<配列相同性検索>
配列は似ているが構造は似ていないものの機能予測はできるのだろうか
遺伝子相同性検索で分からない遺伝子の機能はあるのか

総合的な解析(オミクス)
各種の総合的な解析(オミクス)の研究結果はどの程度重ね合わせられるものだろうか
プロテオームやトランスクリプトームでは、どこまでの部分が共通なのか

<遺伝子の定義
シス配列のように配列そのものが機能する場合には遺伝子とは呼ばないのはなぜか

まとめ:
今回の章では遺伝子の機能について扱い、前半は遺伝子機能の研究の概要とバイオインフォマティクスのアプローチについてでした。議論では、おそらくこれからもゲノムが主流であり続けるだろうという結論に至りました。

2013年7月2日火曜日

HMGセミナー 第10章 (2)

担当:小澤
参加者:15名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<10.4節> 進化系統樹の作成とそこから分かる事実について
<10.5節> 10章のまとめ モデル生物、比較ゲノム学、進化で明らかになった点について

議論点:
「ダックスフンドの将来について」

ダックスフンドは、成熟軟骨細胞の発現により短足となっている
短足は生きるのに不利ではないのか
 - 短足であることで、狩りに有利

ダックスフンドは、自然発生とブリーディングのどちらによって生まれた種か
 - ブリーディング
 - コーギーも同様にブリーディング

短足という表現型は、劣性・優性で決まるか、それとも細胞の発現量で決まるのか
 - 劣性・優性の場合、普通の犬から一遺伝子変化から短足の犬が生じる可能性がある

短足でも、ヒトの環境では生きていけることができるので、表現型が固定された?
 - ヒトの場合でも、小人の一族が存在する


その他の議論点:
<進化全般>
・スプライシングと進化の関係性
・負の選択圧が進化にどの程度機能しているか

<進化系統樹>
・違う祖先で、相同性を持つ配列が存在するか
・新筧藤樹がかけるという仮説はどの程度成り立つのか
・進化速度が一定であるという仮説は正しいと言えるのか
・進化系統樹の形状の偏りの原因

<ヒトの進化>
・将来、ヒトが進化した後の姿について
・ヒトをヒトたらしめているものについて
・ネアンデルタール人とホモサピエンスは、交配していたが、本当に分岐していると言えるのか
・ヒトとチンパンジーが分岐した理由

<その他>
・遺伝子消失の早さの原因
・ハエにヒトの遺伝子を埋め込み、翅を生えさせたときに太った原因
・一部の生物において、ゲノムDNA量に制約を持つことのメリット
・ゾウリムシや単細胞原生動物の上限の遺伝子数が定まる理由


まとめ:
 今回の範囲は、進化系統樹とそこから分かる事実にについて取り扱いました。過去に起きた進化の要因についてやこれから起こりうる進化などの議論点が多く挙がりましたが、短足という一見不利な特徴を持つダックスフンドについて議論しました。