2017年1月31日火曜日

[火曜討論会2016] Nature Podcast(2016/01/14) Fibre and the microbiome

Nature Podcast(2016/1/14)Fibre and the microbiome
元論文(http://www.nature.com/nature/journal/v529/n7585/full/nature16504.html)
担当:田河
参加者:7名

概要:
腸内細菌マイクロバイオームと食物繊維の話
研究のきっかけは、現在でも伝統的な生活をしている集団は都市部の生活をしている人よりも細菌叢の多様性が高かった(これもこの研究者の研究)→都市的な食生活のせいで多様性が失われたのでは?
食物繊維は腸内細菌にとっての主要なエネルギー源のためこれを減らすとどうなるのかラットを使って調べてみた
結果、食物繊維に含まれる細菌叢が分解できる炭水化物(MAC:Microbiota-accessible carbohydrates、水溶性食物繊維?)を少なくした食事をしたマウスは細菌の多様性が減った。さらに1世代内においては食事を高食物繊維職に戻したところ多様性がかなり戻った(完全ではない)。低食物繊維職を世代に渡って続けると多様性はどんどん減っていた。そして4世代にもなると食物を戻しても多様性は失われたままだった。
よって人間でもすでにいくつかの細菌が食生活の変化によって絶滅してしまっているのかもしれない。
また従来の食生活をしている集団はたとえ場所が違っていても共通の細菌を保有していた
この最近の多様性の減少が何をもたらしているのかはわからないが、もしかすると現代病の原因にもなっているのかもしれない。

議題:同業者同士の結婚は幸せか



まとめ
 同業者の定義
  •  同じ職業(教師や医者、研究者)
  • 同じ会社
  • 同じ部署
幸せとは?
  • 本人が幸せならばよいか
  • その子供や雇い主側の幸せは個人の幸せとは変わってきそうである
メリットとデメリット
  • メリット
    • 家でも成果があげられる(些細な議論等も気兼ねなくすることができる)
    • 2人でいつでも行動できる
    • 同業者だからこその悩みを理解できる
    • 学会なんかで一緒に旅行に近いことができる
    • お互いの意欲が一致していれば幸せである確率が高そう
    • そもそも上手く行っているから離婚せずに続いている
  • デメリット
    • どこにいても仕事のことを考えなくてはならない
    • 同じような生活パターンになりがち
    • 研究者の場合同じ機関に所属することが難しい場合もある
    • 相手のキャリアが妬ましくなることがある
まとめ
結局は上手く行った人は離婚をしないため、うまくいっている人が多いように見える。ただし相手との社会上の関係性は通常の夫婦よりもよりシビアになりそうだという印象を受けた。

2017年1月26日木曜日

[火曜討論会2016] Nature Podcast(2016/01/07) Extreme crop damage

担当:佐藤(広)
参加者:7名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2016-01-07.html

元論文:
Influence of extreme weather disasters on global crop production
http://www.nature.com/nature/journal/v529/n7584/full/nature16467.html

概要:
干ばつ, 洪水, 極端な気温といった気象災害がglobal scaleで作物に与える影響の定量化.
干ばつ, 高温がproductionを低下させ, 洪水と低温は有意差無し.
これは, 洪水と低温が発生する地域や時期が原因だと推測.
まだ, 干ばつがyieldとharvested areaを低下させるのに対し, 高温はyieldのみ低下.
これは災害の継続時間が原因だと推測.

議題:
役に立つデータベースとは

■ データベースが使いづらいケース
・ ソート機能が無い
 → rawデータさえあればいい?
  → 他のデータベースのデータを使っていると面倒
・ 開発者が自分で使わない
・ Web上で中身を確認できない
・ UIが気に入らない
・ データベースの独自IDがある
・ データベースのコンセプトが分からない

■ データベースを使う側が欲しい機能
・ formatだけでも知りたい
・ Summaryが見たい
 → データ数, 各カラムの分布, 最終アップデート日など
・ データの精度と計算方法が知りたい
・ データベースの構築手順を公開して欲しい
 → 再解析ができる

データベースの作成ガイドラインがあればいい?
 → データベースを使う対象を実験屋さんと情報科学屋さんで区別した方がいい

まとめ:
 様々な意見があったが, 情報科学屋さんとしてはrawデータが手に入り, DBの再解析できれば最悪なんとかなる.

2017年1月17日火曜日

細胞の分子生物学 22章 多細胞生物における発生 第1~3節


担当:栗本
参加者:7名

<概要>
第1節:動物の発生の基本機構は全て同じであり、進化上関連が深い。多細胞生物に特有のタンパク質には膜貫通分子と遺伝子調節タンパクがあり、また、分化するよりはるか前に位置による決定を受ける。細胞間の違いを作り出す代表的な戦略は2つあるが、いずれも非対称性が存在していることが前提である。
第2節:線虫では1つの前駆細胞が分裂するパターンはどの個体でも同じであり、子孫細胞の運命は系譜図の位置から予測することができる。線虫は細胞間相互作用のパターンの再現性が非常に高いためである。
第3節:ショウジョウバエは構造は線虫より複雑でヒトの体の構造と明らかな共通性を示すが、発生が多核細胞となるところから始まる。主要な4つの遺伝子が規則正しく、段階的に相互作用しながら限られた領域で発現することで制御される。

<議題>
対称性を持つことのメリットとデメリット

*対称じゃない生物
  カニ(シオマネキ)
  ヒラメ、カレイ
  巻貝


植物は回転対称
動物は左右対称 が多い?(ミミズとかは例外?)

デフォルトは対称で進化するにつれて非対称のものが出てきたのでは?
→系統樹で対称と非対称の境界がみられればいい


*対称性のメリット
  対称は簡単(設計図が1つで良い)
  → 内臓が対称じゃないのは限られたスペースに効率よく臓器を詰めたいから。
  安定性がある


<まとめ>
 議題からは少しずれた話になっていったような気がするが、様々な生物が対称であるかは面白い議論だった。基本的に対称性であることにメリットがあるが、進化の過程で何らかの要因によって非対称な生物が出てきたと考えられる。

2017年1月4日水曜日

細胞の分子生物学 21章 有性生殖:減数分裂,生殖細胞,受精 第1〜6節

担当:天満
参加者:8名

概要:
自然界で性は絶対必要というわけではなく、無性生殖を行う生物として単細胞生物や、地下茎・菌類などの植物、ヒドラ・イソギンチャクなどの動物がいる。
無性生殖:簡単に子孫を残せるが、子孫の遺伝子は親と同じ
有性生殖:2個体のゲノムが混ざり合う ← 利点があるはず!
[1. 有性生殖とは]
・両親それぞれから染色体を1組ずつ受け継ぎ、細胞が染色体を2組もつ
・二倍体生物で行われる
・一倍体(配偶子):有性生殖の担い手として特化した細胞
・一倍体は「減数分裂」によって生み出される
・高等な真核生物では一倍体の期間は非常に短い
・減数分裂が遺伝的多様性を生む
・有性生殖の利点は大きく2つ
 ①予測不能な環境の変化に適応できる可能性
 ②選別により、より「良い」遺伝子が残る
[2. 減数分裂]
一倍体の生殖細胞ができる際に染色体が正確に半分に分かれる特殊な分裂
・配偶子は2回の特別な細胞分裂で生じる
・減数分裂でよく間違いが起こる
・交差が遺伝子の再編成を促進する
・哺乳類のオスとメスでは減数分裂の制御の仕方が異なる
[3. 哺乳類の始原生殖細胞と決定性]
・哺乳類の始原生殖細胞が生じ性が決まる
・性決定後に始原生殖細胞が精子か卵になるか指令を受ける
・初期の胚で少数の細胞が近くの細胞からシグナルにより生殖細胞になる
[4. 卵]
いったん活性化すると何日あるいは何週間という時間で新しい完全な個体が生じるという点で、かなり特殊な細胞
・卵はそれだけで発生できるよう高度に専門化している
・卵の形成は段階を追って進行する
[5. 精子]
父方の遺伝子を伝えることに徹して、運動効率を高めている
・哺乳類の精巣は絶えず精子を生産している
・精子は多核細胞として発生する
[6. 受精]
放出された卵と精子は出会って融合し受精しない限りすぐ死ぬ
・射精された精子は雌の生殖管で受精能力を得る
・精子と卵の融合の仕組みはまだよくわかっていない


議題:
適応力とは?

■そもそも適応とは?
環境の変化に合わせて生き延びる。
または、環境の変化によって自身の生命は脅かされるとしても種としては生き延びるようにする。

■適応力と個体差
・生き残る・子孫を残すという観点で「個体差」が存在
 →子孫の個体数が多いほど適応力が高い
・健康で強健な身体や子孫を残し易い身体を持つ個体ほど種の中で必要とされる
 →人間:イケメン、マッチョ、美女...etc
 →動物:クジャク、ライオン...etc

■適応力の変化
・時代の変化とともに求められる個体の特徴・能力が変化
・イケメンがモテるのではなく、モテる人々の特徴を持つ人がイケメン(?)
・時代の中での美人の定義の変化
・昔:戦闘能力 → 今:コミュ力 (?)

考察:
そもそも生物の生存目的とは何かと考えると、おそらく子孫繁栄であろう。
適応力とは地球の環境の変化にも対応し、種を絶やさないようにするための能力と考えると、強健な身体を持っていたり、繁殖に適する身体を持つ個体などが適応力が高いとみなされるであろう。
原始的な時代や動物は狩猟能力や戦闘力などの身体的特徴が重要となってくるが、人間においては時代の変化とともに、容姿や人間関係に重要性が偏ってきた。
このことから適応力とは時代や環境の変化とともに変わるものだと結論付けられた。