2018年10月23日火曜日

細胞の分子生物学 9章「細胞の可視化」

担当:小澤
参加者:7名

概要

9章では、主にマーカーと顕微鏡に重点をおいて観察の手法に付いて述べられている。
また、顕微鏡によって得られた画像から3次元構造を推定する手法に付いても述べられている。

議題

顕微鏡の分解能を上げる方法とその結果見えるようになる物

議論内容

現在電子顕微鏡の分解能は0.05nm。しかし、細胞など生物を観察する際には1nm程度までしか見ることができない。これは電子の透過力が小さいために対象を凍結させたりと強く固定する必要があるためである。これを解決する案として
  • 固定法を変える(より生きている状態に近づける)
  • 電子線を使わない(x線など)
  • 画像解析技術などソフト面を強化する
があげられた。
電子は極めて透過力が弱いので(例えば液体の水があると駄目)、固定法を変えるのはあまり現実的でなさそうだ。電子線を使わないとなると、波長による限界が問題になってくる。
(現在x線顕微鏡の分解能は15nmくらい)
原子を見るには0.1nmくらいの分解能が必要なので、超解像の技術が必須になってくる。
また、画像解析技術も有効かもしれない。
現在の電子顕微鏡における固定のような強い固定を必要とせずに、分解能を0.1nmくらいまで上げることができれば、生物においても原子レベルまで見えるだろう。

まとめ

電子顕微鏡における固定法は生物の観察には向かないので、電子顕微鏡を使わずに分解能を0.1nm程度まで上げることで、生物においても原子レベル

2018年10月22日月曜日

細胞の分子生物学 8章6節 「細胞機能の数学的解析」

担当:矢後
参加者:7名

概要

この節では、現代の生物学で数学と定量的手法がどのようなことをやれるのか、ということが紹介されている。
主に説明されたのは、細胞の調節機構における分子間の相互作用を数学的にどう表現し、解析できるかということや、フィードバック、フィードフォーワードなどのネットワークモチーフの解析について論じられている。

議題

定量的な数学的解析が少しずつ可能になっていく中、一番近い将来(10年くらいで)どのようなことが可能になるか

議論内容

10年もあれば計算機のスペックも今よりずっと良くなっているだろうから、色々できるようになっているのではないか。ということでまずは、今回の議論で挙げられた「計算力が上がればできそうなこと」を3つ紹介していく。
  • 計算量が膨大になってしまうことから、今は確率的なことを無視してモデルを考えているが、将来的に計算力が上がれば何とかなりそうである。
  • 現在開発が進められているエージェントベース・シミュレーションも計算量がネックだが、それならこれも何とかなりそうである。
  • 計算力が上がれば、タンパク質の挙動を計算することで臓器一つ分くらいのシミュレーションはできるようになるんじゃないか
しかしこのままではあまりにも計算機任せすぎるので、「そもそも計算量を減らすようなアルゴリズムを考えることが大事」というもっともな意見も出た。

この他に出た意見としては、「ある症状に対して、様々な薬の効果をまとめランク付けしたデータベースがあったら良いのではないか」というユニークなものもあった。

まとめ

人任せにしないで、我々のできることを考え実行していくべきである。

2018年10月11日木曜日

細胞の分子生物学 第8章 「細胞、分子、生体システムを解析する」4,5節

担当:荒井
参加者:8名

[概要]
1970年代初めには生体物質の中で最も生化学的解析が困難とされていたDNAも、現在では組み換え技術などDNAを扱うことは容易になってきている。特定のDNAをクローニングすることも可能となっており、診断や法医学など様々な場所にも応用されている。また、塩基配列の決定のハードルも下がっており、ゲノム情報とその機能の同定(ゲノムアノテーション)が試みられている。ゲノムアノテーションには遺伝子と変異の相関性を知ることが重要で、遺伝子から変異・変異から遺伝子と双方向の研究がなされている。遺伝子操作は今後も医療の発展や世界の食糧難の解決に役立つことを期待されている。

[議論点]
対立遺伝子に優性・劣性が存在する意義とは?

[議論内容]
一般的な優性・劣性の振る舞い
優性→機能獲得、劣性→機能喪失

優性・劣性の例 血液型、カブトムシの眼色、マウスの毛色など
共優性の例   人間の髪色、HLA遺伝子など

アルビノ(メラニンが欠乏する遺伝子疾患)
  例:ホワイトタイガー
  色素を生み出すどこかの段階で遺伝子の発現が失われていると考えられる(実際にアルビノの方でも個人差がある)
  (優性・劣性の話とは違う?)

2種の対立遺伝子において、優・優と優・劣の組み合わせでは違う?
  人間の知覚できるレベルで優劣を付けるか共優性か分けられているのではないか
  連続的な定義であるべき可能性もある

生物の始まりには対立遺伝子は存在しなかった?
  バックアップとして対立遺伝子が発生し、遺伝していく中での変異で優性・劣性が生まれたのかもしれない(おそらく真核生物ではないだろうか)

[まとめ]
表現型としての優性・劣性は人間の知覚レベルで分けられた違いであり、発現レベルの連続的な違いで見ることが重要であるかもしれない。優性・劣性は真核生物が遺伝子のバックアップとして生み出した遺伝子が変異したものであり、いわば偶然の産物であるとも考えられる。

2018年10月9日火曜日

Nature Podcast ”Problems with Pet DNA"

担当 B4みよし
出席者 7名

概要:
https://www.nature.com/articles/%20d41586-018-05771-0
DNA解析をペットがかかりうる病気を診断することに使用することに関する是非

問題点:
・DNA解析の結果の解釈の基準が無いため、DNA解析の結果を企業側が恣意的に解釈し、自社の製品(ペットフードなど)を飼い主にすすめることが可能
・どのSNPがどの病気のリスクを高めるのか実はわかっていないので、そもそもそのような解析自体が無意味な可能性がある

解決策
・レギュレーションを設ける
・DNA解析の結果を悪用しないように監視する国際的な機関を作る