2019年4月26日金曜日

[MBCセミナー2019]細胞の分子生物学 第2章 「細胞の化学と生合成」

担当:菅野
参加者:4名

[概要]
 生体内では様々な分子が働いている。その中でもタンパク質は非常に多くの場面で使われ、例えば触媒として多くの反応を促進する。代謝反応では、解糖などで、取り入れた栄養物を段階的に酸化することでエネルギーをADP→ATPやNAD+→NADHなどにして貯蓄し、それらを使って起こりにくい反応を進めることができる。代謝反応は高度に組織化され、そのバランスは驚くほど安定である。

[議論点]
ATPを増やせば増やすほど良いものなのか

ここではATPが過剰に多い状態において、悪影響があるか議論する

細胞内では
(ATPの量)+(ADPの量)= 一定
であるため、ATPが過剰に多いということはADPが非常に少ないということ
→ADPを使う解糖系が進まない

解糖やその先にあるクエン酸回路などの途中で生成される物質は他の反応経路にも使われたりする
→解糖が進まないとそれらの途中生成物もできないため、それを使う反応経路も進まなくなる

→ATPとADPの比が重要

この状態を元の状態に戻すには?
→AMP・ADPを合成する
→ATPを分解および細胞・生体外へ排出する
→解糖系などの反応経路を逆に辿ってATPを消費し、ポリグルコースを生成する

[まとめ]
 ATPが過剰に多いとADPが少なくなり、解糖系が進まず、それらの途中生成物を使う他の反応系もうまく進まなくなるため、ATPとADPの比が重要である。

2019年4月16日火曜日

担当:大林
参加者:6名

[概要]
 細胞は、全生物に共通する機構であるDNA→RNA→タンパク質という情報の流れに基づいた物質代謝を行い、その恒常性を実現している。この機構の成立の背景には遺伝子重複や細胞内共生などの遺伝子資源を増やす仕組みがある。

[議論点]
真核細胞においてミトコンドリアや葉緑体の一部の遺伝子がなぜ宿主細胞のDNAに移る必要があったのか

(簡単のため、共生前のミトコンドリアをMTオリジナルと書くことにする)

共生前後のミトコンドリア遺伝子
 MTオリジナル(5000遺伝子程度、細菌と同程度)
 ミトコンドリア(100遺伝子程度)
 参考:核(10000遺伝子程度)

→ ミトコンドリア遺伝子は
   (1) 核に移った →  核が、ミトコンドリアの数や活性を制御するため
   (2) 消滅した     → 機能重複の回避

共生前後のミトコンドリアの機能
 MTオリジナルの機能:好気的エネルギー生産、動く、食べる、増える
 ミトコンドリアの機能:好気的エネルギー生産

共生の理由
 ホストは共生で高効率なエネルギー生産手段を獲得
 MTオリジナルは防御をホストに委ねることができる

一部の遺伝子がミトコンドリアゲノムに残った理由
 遺伝子資源の区分化(輸送する必要がなくなる)
 半自律的制御(酸素呼吸による障害に迅速に対応するため)

[まとめ]
 ホスト細胞の活動に合わせてミトコンドリアの数や活性を制御するため、主に制御関連の遺伝子が核に移動した。