2020年5月26日火曜日

細胞の分子生物学 3章 タンパク質

担当:大林
参加者:6名

[議論点]
なぜ酵素の多くは汎用性を持たなかったのか
(汎用性が高ければ遺伝子数を少なくできる)

1. 制御の考え方
・酵素の特異性が高い:酵素が反応の詳細を決める
・酵素の特異性が低い:場所が反応の詳細を決める

2. 汎用性が高い酵素の長所
・酵素の種類が減り、シンプルなシステムになる
・機能を相補しやすい
・汎用性が高い方が良い状況
 ・遺伝子の種類を減らす進化圧
 ・遺伝子の種類が多いと遺伝(ゲノムのコピー)のコストが高い
 ・バクテリアで顕著だが、哺乳類以外全般に卵は数で勝負。(哺乳類は少数精鋭方式)

3. 汎用性が高い酵素の短所
・複数の対象にドッキングする必要がある
 ・対象が増えると、タンパク質設計難易度が上がる。
 ・タンパク質のサイズを大きくするのが一案だが、サイズにも制限がある。
・反応の調整
 ・触媒する複数の反応のうち個別に調節できない。
 →量の調節ではなく、修飾で各々の機能を調整する
  →オプションのつけ過ぎは、構造的には不安定になりそう
  →特異性の高い酵素ならば、量と修飾の2重の制御が可能

4. 生存戦略
・特異性が高い → 機能の高度化 →競争に有利
・特異性が低い → 遺伝子数が少ない → 世代時間が短い →競争に有利(Bacteriaなど)
・特異性が低い → 想定外に対応できる? → 天変地異で絶滅しないかも(植物など)

結論:
機能の高度化に特異性を上げる必要があるが、汎用性が有用な側面もあるだろう。

2020年5月19日火曜日

細胞の分子生物学 2章 細胞の化学と生合成

担当:大林
参加者:6名

[議論点]
脂肪の方が貯蔵効率が良いならなぜ全ての糖を脂肪として貯蔵しないのか?

1. 貯蔵効率と貯蔵量(p79)
・(エネルギー)グリコゲン2g = 脂肪1g
・(水を含めた重量)グリコゲン6g = 脂肪1g
・(貯蔵量)・グリコゲン:1日分、脂肪:1ヶ月分

2. 貯蔵場所
・グリコゲン:肝臓・筋肉など(供給先の近く)
・脂肪:脂肪細胞

3. 運搬
・グリコゲンは水を結合している(p79)
・水に溶けやすいので、運搬しやすい
・グルコースしか使えない組織(神経組織)もある。(p87)

4. 分解
・どちらもアセチルCoAに分解される(p81)
・相互変換(p81)
 ・糖→脂肪酸(Easy)
 ・脂肪酸→糖(Difficult)
・分解効率の違いか合成効率の違いか
 ・分解効率が異なる場合
  ・糖分解:Easy
  ・脂肪分解:Difficult →脂肪を落とすダイエットは大変なので、脂肪は分解しにくいと予想

5. エネルギー貯蔵以外の特徴
・グリコゲンの特徴
・脂肪の特徴
 ・断熱材(水の動きを制限する)
 ・安定的に保存できる(消化が大変であることの利点)

結論:
糖の方がエネルギーとして使いやすいので、全て脂肪にはできない。

2020年5月12日火曜日

細胞の分子生物学 1章 細胞とゲノム

担当:大林
参加者:6名

[議論点]
なぜDNAとRNAで1種類だけ塩基が異なるのか

1. DNAとRNAの塩基が異なる理由を考える
・TとUの合成のしやすさに違いがあるのではないか。
 ・合成しやすい化合物は壊しやすい。→大量合成、大量分解が必要なRNA向き。
 ・DNAは壊れにくい方が良い
・情報の流れ:DNA → RNA → タンパク質
 ・タンパク質合成にUの存在が有利な可能性

2. DNAとRNAで1文字だけ異なるのは何故か?
・一文字異なれば、分子として区別するのに十分。
 ・DNAとRNAの区別の必要性
  ・原本(DNA)を保護
  ・役割の違い
・無闇に違いを増やしたくない。
・共通部分が多い方が合成経路が簡潔で良い

3. なぜACGではなく、Tが異なるか?
・部分構造
 ・Tには水素結合に直接関与しない、CH3がある。
 ・CH3の有無で構造の自由度が変わる。
・全体構造
 ・水素結合の数(3 or 2):少ない方が自由度が高い。AかTが良い。
 ・環の数(2 or 1):少ない方が合成がシンプルで、アレンジしやすい。CかTが良い。