参加者:6名
[議論点]
なぜ酵素の多くは汎用性を持たなかったのか?
(汎用性が高ければ遺伝子数を少なくできる)
1. 制御の考え方
・酵素の特異性が高い:酵素が反応の詳細を決める
・酵素の特異性が低い:場所が反応の詳細を決める
2. 汎用性が高い酵素の長所
・酵素の種類が減り、シンプルなシステムになる
・機能を相補しやすい
・汎用性が高い方が良い状況
・遺伝子の種類を減らす進化圧
・遺伝子の種類が多いと遺伝(ゲノムのコピー)のコストが高い
・バクテリアで顕著だが、哺乳類以外全般に卵は数で勝負。(哺乳類は少数精鋭方式)
3. 汎用性が高い酵素の短所
・複数の対象にドッキングする必要がある
・対象が増えると、タンパク質設計難易度が上がる。
・タンパク質のサイズを大きくするのが一案だが、サイズにも制限がある。
・反応の調整
・触媒する複数の反応のうち個別に調節できない。
→量の調節ではなく、修飾で各々の機能を調整する
→オプションのつけ過ぎは、構造的には不安定になりそう
→特異性の高い酵素ならば、量と修飾の2重の制御が可能
4. 生存戦略
・特異性が高い → 機能の高度化 →競争に有利
・特異性が低い → 遺伝子数が少ない → 世代時間が短い →競争に有利(Bacteriaなど)
・特異性が低い → 想定外に対応できる? → 天変地異で絶滅しないかも(植物など)
機能の高度化に特異性を上げる必要があるが、汎用性が有用な側面もあるだろう。