2020年7月28日火曜日

細胞の分子生物学 7章 遺伝子発現の調節 第6-7節

担当:髙橋宏

参加者:6名

[議論点]
RNA干渉を行う非翻訳低分子RNAは1種類でも同様の機能を実現できるか

1.3種類の非翻訳低分子RNAの特徴
・マイクロRNA(miRNA)...標的RNAを切断して分解
・低分子干渉RNA(siRNA)...一本鎖のRNAを作って結合することで阻害
・piwi相互作用RNA(piRNA)...生殖系列で特異的に作られる
    転移因子の移動を阻止する
    他2つより長く、Piwiと複合体を形成する(他はArgonaute)
    本来、正常なmRNAを破壊してしまうが、そうはならない
   →piRNAの構造や製造場所が関係しているかも


2.それぞれの相違点と共通点
相違点
・miRNAは転写の抑制を行わない
・siRNAはRNA干渉を子孫細胞でも続けられる
・piRNAだけ生殖系列で作られる
・piRNAはターゲットを絞っている
・piRNAは最初一本鎖RNA
・ポリメラーゼ3で転写(piRNA)

共通点
・siRNAとpiRNAは、完全なトランスポゾン遺伝子を転写レベルで抑制し、それが作り出したRNAをすべて破壊
・RNA-RNA塩基対形成によって標的分子を見つけ、遺伝子発現を低減
・ポリメラーゼ2で転写(miRNA、siRNA)

3.なぜ1種類ではいけないのか
・3つの役割が違う
  →1つに統合したら危険
・piRNAのみが1本鎖で始まるため、敵味方の識別が難しい
    ↑
  2本鎖RNAを標的にすればいいわけではないから

4.どうすれば実現できるか
・安全な配列と危険な配列を区別
→危険な配列と安全な配列を識別して固定してしまうと変異が行われなくなったり、危険性が高まる

結論:
piRNAのみが1本鎖で始まるため、敵味方の識別が難しく、1種類での運用は難しい

2020年7月14日火曜日

細胞の分子生物学 7章 遺伝子発現の調節 第4-5節

担当:高橋和
参加者:6名

[議論点]
なぜゲノム刷り込みは染色体全体ではなく遺伝子ごとに目印をつけるのか

1. ゲノム刷り込みについて
    ・ゲノム刷り込みはDNAのメチル化によって起こる(p407)

        今回,以下の2点について考慮した.
        ・遺伝子ごとに印をつける(発現する/しない)
        ・染色体の一部に印をつける(認識するためだけ)

2. 遺伝子ごとに印をつける場合
    メリット
        印をつけたものがわかりやすい
        発現するものがわかりやすい
    デメリット
        コストがかかる

3. 染色体単位で処理する
    メリット
        印のコストがあまりかからない
    デメリット
        印のあるところまで検索するのが面倒
        父方母方由来かどうかはわかるが,それが発現と直結するかはわからない

4. 刷り込みが何ゆえに存在するのか
    刷り込み現象は有胎盤哺乳類に限られる
        →刷り込みがあることによる多様性
    大きな子孫を残したい雄と大きな胎児を宿したくない雌
        →効率と生存確率の対立

結論:
雄と雌の利害関係が一致しないため,遺伝子ごとのゲノム刷り込みとなったと考えられる

2020年7月7日火曜日

細胞の分子生物学 7章 遺伝子発現の調節 第1-3節

担当:高沢
参加者:6名

[議論点]
転写調節因子の単量体が識別する塩基対はなぜ極端に抑えられているのか

1. 転写調節因子について
・6~8塩基対を識別(p375)
・完全一致でなくても結合する(p375)
・二量体になることで偶発的な適合が遥かに少なくなる(p378)

2. 認識配列長が短いことによるメリット
・短いことで参照が速くなる
・短い方が相手の形(DNA構造)の自由度が高く結合しやすい

3. 認識配列長が短いことによるデメリット
・結合の親和性や特異性が低くなる
・複数種類の単量体を作るために遺伝子数が増える
・シス配列の種類を増やすのが大変

4. 単量体の認識配列長を長くすることの問題点
・DNAの構造によっては結合しにくい
・単量体の分子量が大きくなり、合成に必要なエネルギーが増える
・多量体を複数種類作った方が認識の柔軟性が増す
 →シス配列の種類が多く組み合わせの方が効率が良い

結論:
シス配列の種類が多いため、それに適合する大きい単量体を複数用意するよりも、小さい単量体を組み合わせたほうが効率が良いと考えられる。また、シンプルな(短い)認識配列の組み合わせによって環境の変化にも柔軟に対応できる可能性がある。