2013年6月10日月曜日

HMGセミナー 第8章:遺伝子とゲノムの構造および発現を解析する(1)

担当:寺嶋友美
参加者:16名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:

<8.1節> DNAライブラリーやcDNAライブラリーの作製法、スクリーニング法、増幅の際の問題点について
<8.2節>酵素法から第三世代シークエンサーに至るまでの DNA塩基配列決定の様々な方法とDNAキャプチャーによる再配列決定について

語句:
かけ…ゲノムを読む回数。
SD…ある集団(ここではPCRにより増幅されたゲノム)の濃淡の分布。対数正規分布の標準偏差。

議論点:
「DNAのシークエンシングのエラーを検出する方法について

・シークエンサーの問題点
 ー正確な部分と怪しい部分がある
  ー原因:体細胞変異、シークエンシングの時の誤り

・2つのシークエンサーで結果が違う場合
 ーメーカーによって正確性は違う
 ー何らかの方法で正確性を比べたい
  ー信頼度はある?
   ー蛍光を使う方法なら各塩基を検出した時の光の強度
   ーQスコア
    ー間違える確率
    ーQスコアの信頼度は手法毎に違う?
     ー初代と次世代だと初代の方がQスコアの信頼度は高い
    ー足切りに使う

・パックバイオ
 ー1分子毎、大量に配列を読む、エラーが多い
 ー20%くらい間違う
 ーSMRTと同じ技術を使用

・SNPの場合
 ー30かけくらいでも正確
 ーSDが大きいと正確な部分と怪しい部分のばらつきが大きくなる
  ーSDを小さくできる?
   ー技術的には可能性がある

・PCRによる問題
 ー次世代シークエンサー
  ーブリッジRCR
   ー基盤上で増幅して画像から読む
 ー第三世代のシークエンサー
  ーPCRをしないPCRフリー
   ーPCRによる問題がなくなる
 →1分子の大量並列DNA塩基配列決定法が出てくればいい
  ー1分子はエラーが多い
   ー今のところ何度も読むか、他のシークエンサーで補うしかない
 →PCRで複製がうまくいかなかった部分だけをもう一度PCRで増幅するプログラムがあればいい

その他の議論点:
<DNAライブラリー>
・大きなDNAを複製する場合には、PCRよりも細胞の方が優れているが、それはなぜか
・DNAライブラリーを増幅する際に起きうる、オリジナルな構成の破壊への対策について
・分与されたDNAライブラリーは同じ物だろうか
・DNAライブラリーに寿命はあるのか

<塩基配列決定法>
・蛍光による塩基配列決定法はどの程度正確なのか
・初代のシークエンサーの方法(酵素法)では大量に配列を決定する事は出来ないのか
・ジデオキシ法では、伸長を確率により制御するため配列の偏りがありそうだが、それをどう解決しているのか
・大量並列DNA塩基配列決定において、リード長と総配列情報量ではどちらがより重要なのだろうか
・1分子による大量並列DNA塩基配列決定において、反復配列等を読む事で異常なデータがとれるといった不具合は生じないのか
・シークエンシングはどこまで省略可能なのだろうか

<シークエンサー>
・SMRTとナノポアではどちらが主流となるだろうか

・現在研究されている他のシークエンサーについて

・表8.1でまだ出来ていないシークエンサー(Pacific Biosciences)が普及したらどうなるのか
・メイド・イン・ジャパンの世界一のシークエンサーは作れないのか

まとめ:
塩基配列決定法、その中でもシークエンサーに関する議論点が多く出ました。今までのシークエンサーの問題点をはっきりとさせた事で、第三世代での正確性を実現するための具体的な案が集まったように思います。

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