2015年10月28日水曜日

[火曜討論会2015]Nature Podcast(2015/4/9) Moon-making mystery

担当:平田
参加者:10名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-04-09.html

元論文:

    • Alessandra Mastrobuono-Battisti,
    • Hagai B. Perets
    • Sean N. Raymond
    Nature 520212–215 (09 April 2015)
http://www.nature.com/nature/journal/v520/n7546/full/nature14333.html

概要:
月が生成された背景の仮説として有力なのが初期の地球に火星大の惑星が衝突して飛び出した欠片が月になったというジャイアント・インパクト説であるが、衝突天体と衝突された天体の元素比率の組成を調べるシミュレーションによりこの説をより強固なものにした。

議題:
衛星の有無は惑星にどのような影響を与えるか


地球の場合 - 衛星は「月」
 現状ではどのような影響があるか
 ・万有引力による潮の満ち引きを発生
  →海岸の生物に影響(潮の満ち引きを利用して産卵を行う生物等)
 ・月明かりを発生
 ・時間や季節を知る手段
 ・自転軸の傾きを安定化
 ・自転速度に影響
  →自転速度が速くなると風が強くなる
  →台風が強力化する


衛星があることによる惑星の生物への影響を考える 
・惑星により生体リズムに利用できる新たな周期が増える
 →環境がより複雑になる
・風の強弱や潮の満ち引きにより環境が攪拌される


(過度な攪拌力はよくない?)
例えば風が強すぎると生物が一様化してしまう(2015/9/29の討論会参照)
生体リズムに影響を及ぼす潮の満ち引きや日周期だが、周期が短くなりすぎると生物は対応できない可能性がある
→適切な周期のレンジがあると考えられる

まとめ
地球には月の存在により支えられている環境が多く存在するようだ。
もし 月が複数存在していたり今よりも大きかったりするとさらに環境は複雑化していたかもしれないが、逆に月の影響が大きすぎて環境が一様化していたことも考えられる。
衛星が惑星に与える影響は決して少なくはないことが予想されたが、地球と月の関係はその影響が生物にとって適当な範囲内であったから現在の地球環境が存在する、と考えられるかもしれない。

2015年10月27日火曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/4/16) Unpicking the love hormone

担当:小舘
参加者:10名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-04-16.html

元論文:
Oxytocin enables maternal behaviour by balancing cortical inhibition
Bianca J. Marlin, Mariela Mitre, James A. D’amour, Moses V. Chao & Robert C. Froemke
Nature 520, 499–504 (23 April 2015)
http://www.nature.com/nature/journal/v520/n7548/full/nature14402.html

概要:
 オキシトシンの神経回路調節についてマウスで実験を行ったところ、雌の聴覚野の応答を仔の鳴き声に対して高めることで、回収行動を可能にしていることが分かった。


議題:
薬で感情を制御することはどこまで許されるのか


(まず健康面から考えてみる)
[健康面]
普段の生活で…

酒・タバコ:OK | 麻薬:ダメ
 ↓
やっていいこと | 悪いこと
 どう分けるか?

・(長期の)健康被害 →元に戻らなくなる?
・死に至る
・異常行動
・依存性
・脳へ直接影響?

→酒でも麻薬でも当てはまりそう。
 しきい値の問題?

症状に対して処方するのは良いだろう。
個人での取り扱いは?


[倫理面]
・自分で制御すべき? ←できない人もいる
・社会の発展が止まる?(一日中こもって薬づけ)
・画一化? アイデンティティの喪失?
・仕事のやる気を起こす? →洗脳に繋がる?

戦場での使用例

どこまで規制すべきか:
1.個人に委ねる(集団使用はダメ)
2.国レベルで規制する
3.個人でもダメ(2番の規制は実質無理だろう)


●まとめ
 社会レベルで影響が出そうな技術が出現したときの取り扱いは難しい。倫理面からも更に議論を深めることは有益だと思う。


2015年10月26日月曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/4/2) Exolegs

担当:佐藤(壮)
参加者:8名

概要:
進化・成長・学習により人の運動は高度に効率化されている。我々は外部動力を必要としない外骨格を開発し、歩行運動の代謝コストの低減に成功した。一見単純で、完成された様に思える歩行運動でも改善は可能で、学ぶべきことも残されている。
http://www.nature.com/nature/journal/v522/n7555/abs/nature14288.html?lang=en SS

議論点:
エネルギーを必要としないデバイスがもたらす影響

◯このようなデバイスは普及するのだろうか?
 今回の例 ーー 内蔵ブーツとかにしたら売れそう?
         意図としては老人や弱い人を想定した補助器具である

 杖、靴、手押し車の例 ーー 広く普及している補助器具

◯もたらす影響
 今回の例(Exolegs)
  ・ふくらはぎが弱くなる
  ・エネルギー消費が減る
    ー太る
    ー食事量が減る
  
 杖、靴、手押し車の例
  ・靴を履くことで人の歩行方法が変わった(かかとから着地する?)
    靴を履いた歩行方法に最適化が済んでいない?
  ・外反母趾や偏平足といった悪影響
  ・前屈姿勢になりやすくなってしまう
  ・刺激(=エネルギー消費、負荷)が減ることで筋力低下などの影響がありそう
  ・代謝が落ちる

◯良い影響はないのか
 車の例(外部エネルギーを必要としているが)
  ・生活スタイルの変化
 
 衣服の例
  ・より多様な気候への対応
  ・普及することにより違いを求めていく → ファッションなどの文化への影響

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/02/05) Protecting parched plants

担当:佐藤(壮)
参加者:8名

概要
植物のアブシジン酸による防御機構を利用し、受容体を活性化することで水分消費量や乾燥耐性を改善する事ができる。今回我々は受容体の変異が既存農薬に対して感受性を有し、農薬の新しい活用方法を提案する。
http://www.nature.com/nature/journal/v520/n7548/full/nature14123.html

議論点
植物にどこまで遺伝子操作を加えられるのか

◯植物を限界まで品種改良したら
・便利になりそうな形質を導入しまくる
 便利になりそうな形質 → おいしくなる 乾燥耐性 病害虫耐性 収量増加

◯限界はどこなのか
・異なる植物に、異なる植物の実をならせることは無理そう
・味の全く異なる作物を作る(果たして意味はあるのか)
・相反する特性を導入すること
・おいしくなる 美味しさを感じることには個人差がある
・機能が多くなると手間が逆に増えてしまう可能性
・遺伝子操作で得ることのできない形質

→分配できるエネルギー量は決まっているから、物質を作るような機能を備えてしまうと、美味しさに回すエネルギー量が減ってしまうのではないか(そのために農薬が存在する?)
→おいしさなど個人差とか主観に依存する部分をパラメーターとしてあとから自由に調整できるようにしてはどうか(美味しさに限っては料理がそれにあたるのではないか)

2015年10月21日水曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/3/26) Growing galaxies

担当田河
参加者9名

音源:

元論文:
Wind from the black-hole accretion disk driving a molecular outflow in an active galaxy
http://www.nature.com/nature/journal/v519/n7544/full/nature14261.html

概要:
ブラックホールに落ちた塵によって形成されるクエーサーは、摩擦によって高光度の光を発する。
これによって強い風が生じ、星が成長するために必要なガス吹き飛ばしてしまうことによって銀河で星が育たなくなることが、実際にIRAS F11119+3257という銀河を観察することによって確認された

議題:
星が存在する環境によって、その星の生物の特徴はどう変わるか

変化を促す環境因子は何があるか
  •  気温
    • タンパク質で構成されている生き物は高温度では熱変性が起こるため生きられない→タンパク質以外でできていれば生存が可能かも
  • 重力→強いといきものの大きさは小さくなりそう
  • 大気比率・気圧
  •  水の量(陸と海の比率)
  • 地殻比率

そもそも生物が生まれる条件、定義は何か
  •  何か物質がある所
    • 代謝をするためには何らかの溶媒も必要→地球では水だがそれ以外でも代用
  •  エネルギー源→何をエネルギー源にするかで特徴は大きく変わりそう
  • 何らかの進化を促すシステム
    • 地球生物は遺伝子だがそれに似た何かがないと滅びるのみ 
まとめ:
変化を促す環境因子は何か考えることから始まり、生物というものはなんであるか、また生物が生まれる最低条件は何かについて考えることもしつつ、それを受けてエネルギー源や進化に必要なシステム、溶媒の種類が変わるだけでも生物の特徴は大きく変わりそうだということが挙げられた。




2015年10月19日月曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/3/19) British genetics

担当:安澤
参加者:9人

概要

集団間の微細な遺伝的差異は、歴史上で集団に起きた現象を反映したり疾患研究の障害となる可能性があり興味深い。地理的多様性の観点から注意深く選ばれた英国民2039人のSNPデータから地理特異性や、かつてあった移住の影響を評価する。

議論点

ゲノム解析から分かる歴史的事象
  •  例えば今後、文化的要因によって遺伝的差異が生じることがあれば検出できるようになるのではないか。
○遺伝的差異が生じる要因 
  • 遺伝的差異がある複数の集団が1つになる
    • 移民
    • 文化的合流
  • ある集団で特定の差異が選択される
    •  文化的(?)選択
      • 特定人種の絶滅
        • ヒト属の淘汰
        • ジェノサイド
      • 性選択
        • 容姿など
        • 繁殖様式による差異
      • 食物に関するもの
    • 環境適応
      • 肌の色
      • 目の良さ 
○文化的な遺伝的差異が選択されうるとしていずれ観察できるだろうか?
  • 集団の大きさにもよるが、よほど有利な形質でも固定に1000年はかかる


まとめ


ゲノムが過去の出来事を反映するという視点が新鮮でした。

芋煮 2015

10月9日に牛越橋にて木下大林研の芋煮会が行われました。
前日に台風が接近していたので心配していましたが、当日は快晴で風が気持ちよかったです。

金曜日ということもあり、多くの集団が見受けられました。
その中でも木下大林研は最大で27人参加と、最も大所帯のように感じました。

例年通り山形風(醤油・牛)と宮城風(味噌・豚)を作成しました。


山形風

宮城風

躍動感。

焼け石に水。


〆のカレーうどん。


皆様お疲れ様でした。

2015年10月13日火曜日

[火曜討論会2015] ​Nature Podcast(2015/3/12) Cooperative capture

担当:佐藤(広)

参加者:9名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-03-12.html

元論文:
Cooperative insertion of CO2 in diamine-appended metal-organic frameworks
http://www.nature.com/nature/journal/v519/n7543/full/nature14327.html

概要:
 ジアミンを付加した金属有機構造体は金属-アミン結合が連鎖的に生じることで低エネルギーでCO2を吸着できるので排ガス等のCO2を回収する新しいアプローチになりうる。

議題:
ベストなCO2濃度とは何か

■CO2濃度が影響を与えるもの
・地球の気温
・植物の栄養
・植物の成長(収穫量)
・海のPh?

■ベストなCO2を決定するときの判断材料
・バランスをどう取るか
 →今は下げる方向にある
・CO2濃度が上昇する以前(産業革命時)を参考にする
・CO2濃度の寄与率が大きい要素
・今の生物には今のCO2濃度がベスト?(最適化されているから)
 →維持という選択肢

■それぞれのベスト
・環境にとってのベスト→?
・全生物にとってのベスト→維持
・人間にとってのベスト→植物の収穫量を基準にする?
⇛全生物にとってのベストは人間にとってのベストと最終的には等しい?

■その他の考察
・環境安定性という観点→フィードフォワードを意識する
・一から星を作った場合→CO2はO2とのトレードオフ


まとめ:
 遺伝子という観点から見れば全生物は今のCO2濃度に最適化されているので今のCO2濃度を維持するのがベストと言える。しかし、維持した結果何が生じるかについては議論する余地がある。

2015年10月7日水曜日

[火曜討論会2015]Nature Podcast(2015/2/26) Food additives

担当 : 加賀谷
参加者 : 10名

音源 :
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-02-26.html

元論文 :
Dietary emulsifiers impact the mouse gut microbiota promoting colitis and metabolic syndrome
http://www.nature.com/nature/journal/v519/n7541/full/nature14232.html


概要 :
加工食品に使われている乳化剤は、腸管内部の微生物相に対して悪影響を与えるとの仮説を裏付けるマウス実験の結果が出た。腸内微生物相が乱れると炎症性腸疾患やメタボリックシンドロームと呼ばれる肥満関連症候群などの多くの慢性疾患の原因となりうる。


議題 :
食品添加物の長期的影響・制限方法について

 ・超長期的な影響は実はない?
   ・影響が遺伝するか
 ・ 「危険はない」というのが安全と捉えられている
 ・結局は摂取量の程度の問題

 ・長期的な影響のあらわれかた
   ・ガンになる
   ・生活習慣病になる
   ・臓器の機能低下に繋がる
   ・腸内環境の変化
       → 多面的な影響が出てくる


 ■ 制限方法について
  ・長期的な影響がわからないと制限することは難しい
    ・アプリなどで食べてるものを集計してみる
    ・簡単にカロリーや添加物を測れたら便利

  ■ 疑問点
    ・摂取基準などが画一的でよいのか
    ・腸内微生物相の安定性はどのくらいなのか


まとめ :
食品添加物の影響は、短期的に見れば危険ではないことが証明されているものの、長期的に見た影響については不明な部分が多く、ただ便利だからといって何も考えずに利用していくのは少し不安な部分もあると感じた。腸内微生物相の安定性については、外因が与える影響がどの程度のものなのか測るために必要な知識なので、今後調べていきたい。

2015年10月6日火曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/3/5) Family arguments

担当:池野
参加者:10名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-03-05.html

元論文:
Reconstructed Homo habilis type OH 7 suggests deep-rooted species diversity in early Homo


概要:
東アフリカで発見された初期のヒト属の化石の分類には諸説あるが、今回ホモ・ハビリスのホロタイプOH7の化石の一部をバーチャルで復元し他の初期のヒト属の化石と比較した結果、ホモ・ハビリスの系統は230万年以上前に現れたことや、ヒト属は初期の頃から多様性が生じていたことがわかった。

議題:
人類の系統解析の最終的なゴール(=知りたいこと)

・系統解析によって得られるもの
 ・先祖関係・年表
 ・過去の様子
 ・各遺伝子のルーツ
など

■最終的なゴールとは?
 ・人類の起源
 ⇒発展して、生命の起源
 ・知性の起源
 ・今の人類がどうしてこのような姿になったのか

⇒多くの研究者は、意図しているかしていないかはともかくとして、結果的にはこの方向性に向かって研究しているのではないだろうか?

■中間的なゴールはなにか?(次のステップは?)
 ・新しい化石を見つけたい
 ・化石から元の姿を復元したい
 ・わかっている知見の整理・集約・まとめ(=体系化)
  ⇒体系化して初めて見えてくる事実も存在する
 ・多くの人に広めたい、知ってもらいたい

■では、中間的なゴールの後(中間と最終ゴールとの架け橋)は?
 ・データ・知識同士の関連性を見つける
 ・埋めるべき(知るべき)知識の穴が見えてくる
⇒最終ゴールを具体的に表現できるようになるのではないか


まとめ
人類や知性の起源という最終ゴールに向かい、
現在ヒトは知識をとにかく集積していくフェーズにあり、今後データが集まれば、次のフェーズ(データ・知識同士の関連性を見つけたり、埋めるべき知識の穴を明確に把握できる)へと移っていくのではないだろうか。



2015年10月5日月曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/2/12) Finch family update

担当:平田
参加者:9名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-02-12.html

元論文:

Evolution of Darwin’s finches and their beaks revealed by genome sequencing

http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7539/full/nature14181.html


概要:
ガラパゴス諸島に生息するダーウィンフィンチについて、表現系のみで判断し作成されていたかつての系統樹を新たにゲノム配列を分析することによって更新した。


議題:
よくわからない形態をどう考えるか

▪︎よくわからない形態をもつ生物の例

 ツノゼミ








画像:wikipedia

▪︎なぜこのような形態をもっていると考えられるか
 ・ 過去に生存に有利だった形態が現在まで残っている
 ・擬態のため
 ・求愛のため(key word:性選択 例:クジャク)
 ・威嚇のため
 ・戦闘のため
 ・過剰進化をした

  →なにかしらの理由がありそうだが、あまりにも形態を変化させすぎると
   生存に不利になる可能性がある
   →平衡点があるのではないか

▪︎形態を変えるということ
 ・内臓などの器官を変える→ゲノム配を変える必要がある
   → 難しい
 ・形はパラメータを変化させるだけでよい
   → 容易に変化させることができる

▪︎選択圧が関係してくるのではないか
 ・選択圧が低い→変化しやすい
   →形態のバリエーションが増
 ・選択圧が高い→変化しにくい
   →形態のバリエーションが減
 例:深海生物
  バリエーションが多い
  深海は無光 → 光に関する形態をもつ必要性が低い
   →選択圧が低い可能性が高い
 ・選択圧の強さはゲノムを読めばわかるだろう

まとめ

・人間には理解できないような変わっていると思える形態にもなにかしらの理由があって誕生したものだと思われる。
・選択圧の強さを定量化する方法があれば変な形態が誕生する確率を求めることができるかもしれない