2020年6月23日火曜日

細胞の分子生物学 6章(前半) DNAゲノム情報の読み取りーDNAからタンパク質へ

担当:近藤輝
参加者:6名

[議論点]
なぜ真核生物のRNAポリメタ➖ゼは3種類あるのか?

原核細胞と真核細胞のRNAの生存時間の違い

・原核生物のmRNAの生存時間は5分程度
  もし転写にミスが有ったとしても間違ったタンパク質の合成は5分程度で影響は小さい.
・真核細胞のmRNAの生存時間は原核細胞に比べ長い
  転写ミスのmRNAは長い間、間違ったタンパク質を合成する
    ➢ 原核生物に比べて転写ミスのmRNAの影響は大きい

転写ミスを減らす手段

RNAの品質管理を行うため,RNAの種類ごとにRNAポリメタ➖ゼができたのでは?
真核生物ではRNAの種類により,核外に出るまでのプロセスが異なる場合がある.
異なるRNAポリメタ➖ゼがあれば,RNAの修飾のミスを防ぐことができるのでは?

RNAの種類により合成法が異なる

RNAの種類により合成方法は異なる.
原核生物のように1つのRNAポリメタ➖ゼですべてのRNAを合成することは難しいのでは?

結論

真核生物ではスプライシングなどのRNA合成後もRNAを加工する必要があるため,RNAの分類をする必要がある.更にRNAの寿命が原核生物に比べて長いため,転写ミスの影響が大きい.そのため,RNAの転写ミスを減らす手段の一つとして複数のRNAポリメタ➖ゼが存在すると考えられる.

2020年6月16日火曜日

細胞の分子生物学 5章(後半) DNAの複製、修復、組換え

担当:髙橋宏

参加者:6名

[議論点]
生物によって主要なトランスポゾンが異なるのには理由があるのか

1.なぜヒトは非レトロウイルス型がアクティブなのか
・ウイルスの機構が他2つのタイプと似ている
 →ヒトは密集することが多くウイルスに対する防衛機構を備えたい
  →非レトロウイルス型のみをアクティブに
   →ウイルスが活性しにくくなる
・トランスポターゼが使えなくなっても他のトランスポターゼが使えるから

2.なぜヒトは他2つのタイプがアクティブではないのか
・DNA型は切り貼り式転移機構
 →変異の危険性up
・DNA型は2500~3500万年前まではアクティブ
 →変異する必要がなくなったため非活性化

3.なぜマウスではいまだに非レトロウイルス型以外の2つもアクティブなのか
変異しても問題がないから
ヒトと比べると...
 ・寿命が短い
  →変異の蓄積が少なくいため、それによる死亡率が低い
 ・子供の数が多い
  →何匹かが変異しても種が絶滅するリスクが低い
 ・テロメア―ゼが活性しつづける
  →変異による病気(がんなど)にかからない

結論:
各種のトランスポゾンを調整することで変異の確率を操作しているため、主要なトランスポゾンが種によって異なるのではないかと考えられる。

2020年6月9日火曜日

細胞の分子生物学 5章(前半) DNAの複製、修復、組換え

担当: 高橋和
参加者: 6名

[議論点]
健常な細胞にのみに働くテロメラーゼがあれば、不老を実現できるのか

1. 老化とはどのような状態なのか
・細胞増殖の制御をしている: 加齢の原因と考えられている
・テロメアの長さが短いこと,役に立たない細胞が増える: 腫瘍,変異の可能性

2. テロメアの長さが維持できた場合どうなるのか
・過剰に生成される危険性
→増えたものがマジョリティになり,危険
すべての細胞にテロメラーゼが働く場合
・悪性の細胞が排除されずに増殖する
健常な細胞にのみテロメラーゼが働く場合
・健康維持がしやすい,身体的な加齢を抑えられる
・健常な細胞が大半をしめることでうまく機能させられるのか
        →限界がある(健常なものを阻害する恐れ)

3. 細胞増殖の制御
・老化防止のメカニズムだが,うまくいかないと老化を促進してしまう

4. 複製による問題
・分裂によってがんになる可能性
        →がんは自身で増殖するため避けられない

5. 再生できない細胞
・脳の神経細胞など,再生できない細胞については老化を避けられない

結論:
健常な細胞にのみ働くテロメラーゼがあっても,老化を制御することは困難.
他に老化を制御できる機構がないと不老の実現は難しい.



2020年6月2日火曜日

細胞の分子生物学 4章 DNA,染色体,ゲノム

担当:高沢
参加者:6名

[議論点]
快適な生活環境はヒトの進化を抑制するか促進するか

1. 進化の定義
進化は変化と捉えることができる。

・適応的な変化
 ex)居住地によるメラニン色素の量の変化

・適応的でない変化
 ex)血液型の偏り

適応的な変化を進化として議論した。

2. 適応的な変化を抑制する
・技術の発展により生活環境の自由度が向上
→自ら調整するような機能が発展しない
・適応度によらず子孫を残しやすい
・グローバル化によって、必要な機能が曖昧になる

3. 適応的な変化を促進する
・技術で補える必要のない機能が消える
→機能、エネルギーの効率化
 単純になり繁殖の効率が上がる
・寿命が延びることに伴い、機能が長持ちするように変化するかも
 ・寿命を延ばすことが種の繁栄にメリットになるとは限らない
 (食糧の不足など) 
 ・高齢な個体が存在することによって知識が継承される

4. バリエーションの増加
現在の生活環境によってバリエーションは増加すると考えられる。
・医療等の発展によって不利な遺伝子が維持される
・グローバル化による離れた地域のグループどうしの交配

5. 快適な生活環境について
現在は地域や経済レベルによって快適度が大きく異なる
→多様性につながる可能性がある

結論:
快適な生活環境は、抑制と促進をどちらも生じさせる可能性があり、地域や状況によって抑制と促進のバランスは異なると考えられる。

2020年5月26日火曜日

細胞の分子生物学 3章 タンパク質

担当:大林
参加者:6名

[議論点]
なぜ酵素の多くは汎用性を持たなかったのか
(汎用性が高ければ遺伝子数を少なくできる)

1. 制御の考え方
・酵素の特異性が高い:酵素が反応の詳細を決める
・酵素の特異性が低い:場所が反応の詳細を決める

2. 汎用性が高い酵素の長所
・酵素の種類が減り、シンプルなシステムになる
・機能を相補しやすい
・汎用性が高い方が良い状況
 ・遺伝子の種類を減らす進化圧
 ・遺伝子の種類が多いと遺伝(ゲノムのコピー)のコストが高い
 ・バクテリアで顕著だが、哺乳類以外全般に卵は数で勝負。(哺乳類は少数精鋭方式)

3. 汎用性が高い酵素の短所
・複数の対象にドッキングする必要がある
 ・対象が増えると、タンパク質設計難易度が上がる。
 ・タンパク質のサイズを大きくするのが一案だが、サイズにも制限がある。
・反応の調整
 ・触媒する複数の反応のうち個別に調節できない。
 →量の調節ではなく、修飾で各々の機能を調整する
  →オプションのつけ過ぎは、構造的には不安定になりそう
  →特異性の高い酵素ならば、量と修飾の2重の制御が可能

4. 生存戦略
・特異性が高い → 機能の高度化 →競争に有利
・特異性が低い → 遺伝子数が少ない → 世代時間が短い →競争に有利(Bacteriaなど)
・特異性が低い → 想定外に対応できる? → 天変地異で絶滅しないかも(植物など)

結論:
機能の高度化に特異性を上げる必要があるが、汎用性が有用な側面もあるだろう。

2020年5月19日火曜日

細胞の分子生物学 2章 細胞の化学と生合成

担当:大林
参加者:6名

[議論点]
脂肪の方が貯蔵効率が良いならなぜ全ての糖を脂肪として貯蔵しないのか?

1. 貯蔵効率と貯蔵量(p79)
・(エネルギー)グリコゲン2g = 脂肪1g
・(水を含めた重量)グリコゲン6g = 脂肪1g
・(貯蔵量)・グリコゲン:1日分、脂肪:1ヶ月分

2. 貯蔵場所
・グリコゲン:肝臓・筋肉など(供給先の近く)
・脂肪:脂肪細胞

3. 運搬
・グリコゲンは水を結合している(p79)
・水に溶けやすいので、運搬しやすい
・グルコースしか使えない組織(神経組織)もある。(p87)

4. 分解
・どちらもアセチルCoAに分解される(p81)
・相互変換(p81)
 ・糖→脂肪酸(Easy)
 ・脂肪酸→糖(Difficult)
・分解効率の違いか合成効率の違いか
 ・分解効率が異なる場合
  ・糖分解:Easy
  ・脂肪分解:Difficult →脂肪を落とすダイエットは大変なので、脂肪は分解しにくいと予想

5. エネルギー貯蔵以外の特徴
・グリコゲンの特徴
・脂肪の特徴
 ・断熱材(水の動きを制限する)
 ・安定的に保存できる(消化が大変であることの利点)

結論:
糖の方がエネルギーとして使いやすいので、全て脂肪にはできない。

2020年5月12日火曜日

細胞の分子生物学 1章 細胞とゲノム

担当:大林
参加者:6名

[議論点]
なぜDNAとRNAで1種類だけ塩基が異なるのか

1. DNAとRNAの塩基が異なる理由を考える
・TとUの合成のしやすさに違いがあるのではないか。
 ・合成しやすい化合物は壊しやすい。→大量合成、大量分解が必要なRNA向き。
 ・DNAは壊れにくい方が良い
・情報の流れ:DNA → RNA → タンパク質
 ・タンパク質合成にUの存在が有利な可能性

2. DNAとRNAで1文字だけ異なるのは何故か?
・一文字異なれば、分子として区別するのに十分。
 ・DNAとRNAの区別の必要性
  ・原本(DNA)を保護
  ・役割の違い
・無闇に違いを増やしたくない。
・共通部分が多い方が合成経路が簡潔で良い

3. なぜACGではなく、Tが異なるか?
・部分構造
 ・Tには水素結合に直接関与しない、CH3がある。
 ・CH3の有無で構造の自由度が変わる。
・全体構造
 ・水素結合の数(3 or 2):少ない方が自由度が高い。AかTが良い。
 ・環の数(2 or 1):少ない方が合成がシンプルで、アレンジしやすい。CかTが良い。