2016年2月24日水曜日

[火曜討論会2015] NaturePodcast (2015/8/27) The birth of science

担当:佐藤(M1)
参加者:8名

概要:
仮説を立て予測し実験をして立証するような現代科学の手法はいつ確立されたのか。1570年台の超新星出現に発するより慎重で正確な測定をするという流れや、1600年に出版した本で現代の実験手法の基礎を築いたウィリアム・ギルバートの存在から、この年代こそ現代科学の手法が形作られた時期だと言える。


議論点:
失敗した研究は科学の発展に寄与しないか

◯研究における"失敗"とは?
 ・期待通りの結果出ないこと
 ・手法のミスマッチによるもの
 ・根底的なミスによるもの
 ・”失敗”にも程度(良し悪し)がある
   ⇒ ”成功”、”失敗”の定量的評価
 ↓
たとえ”失敗”でも有益な情報はある
  ex)ある手法がある問題に不敵であるという情報
    ⇒ ということは、”失敗”は無益ではなさそう
    ⇒ ”失敗”は経験として後の役に立つが、経験として蓄積されなければ意味が無い

”失敗”はあまり論文に書かれない傾向がある?
 ↓
◯なぜ”失敗”は公開されにくいのか
 ・”失敗”をまとめるようなサービス/枠組みの不在
 ・”失敗”の仕方は数多ある
   ⇒ まとめるのが面倒、”失敗”の条件記述が難しい
     ”成功”に対して”失敗”の割合が多いほど”失敗”の網羅は困難になる
 ↓
◯”失敗”をどうやったら公開してもらえるか
 ・機械的にまとめてくれるようなサービス/枠組み
 ・条件を減らす 
   ⇒ 実験系などの機械化 より差異の出にくい環境作り
 

2016年2月23日火曜日

[火曜討論会2015] ​大学生物の教科書 第6章 染色体、細胞周期および細胞分裂(B4平田)

担当:平田
参加者:9名

<概要>

  1. 細胞分裂には、増殖シグナル、DNAおよび内容物の複製、DNAを2個の細胞に分離、細胞質分離の4つの事象が必要。この4つの事象の起こり方は原核細胞と真核細胞で異なる。
  2. 1個の真核細胞から2個生じることを細胞周期という。細胞周期には間期とM期(有糸分裂期)がある。間期にはG1期、S期、G2期があり、DNAの複製はS期に行われる。ここを過ぎたら残りの細胞周期は必然的に進行するという点をR 点(臨界点)という。R点を越えるためにサイクリン依存性キナーゼが働く。
  3. S期でDNA分子が複製された後姉妹染色分体と呼ばれる2本の2本さDNA分子ができる。これはコヒー信というタンパク質でお互いくっついている。S期のうちに中心体も2個になり、これが細胞分裂の方向を決めたり染色体の移動を調整する。
  4. 有性生殖は減数分裂でできた配偶子を両親から1つずつ提供して子ができる。子は遺伝的に親とも配偶子カントも異なったものになり、遺伝的多様性が生じる。
  5. 減数分裂には2段階ある。第一減数分裂では染色体が複製され二価染色体になる。このとおきに染色分体の間で遺伝物質の乗り換えが起こる。その後2つの娘細胞に移動するが、相同染色体のどちらがどちらに行くかはランダムである。第二減数分裂では複製は起きない。染色体が2つに分かれて 1つの細胞から計4つの娘細胞ができる。
  6. 細胞死にはネクローシスとアポトーシスがある。ネクローシスは細胞が損傷を受けたり酵素や栄養素が不足すると起きる。アポトーシスは実質細胞の自殺とも言えることで、不要な組織をなくしたりがんになるような遺伝損傷を受ける細胞を殺す働きがある。

<議題>

染色体対の数は何に影響するのか


染色体 対例:
アリ 2(対)
イネ 12
コムギ 21
ヒト 23
ウマ 32
コイ 52

染色体対が増える理由・利点:
・長いものが切れる(逆に短いものがくっつく場合もある)
・バックアップが取れる→同じ染色体を増やして片方を改変できる

染色体対を増やすメカニズム:
・ホールゲノムリプリケーション
 染色体対を増やしああと不要な部分がけずられる
 数億年オーダーで起きる
 例えばシロイナズナでは3回起きた
・倍数化
 ホールゲノムリプリケーションに比べて簡単に起きる
 減数分裂のエラーや細胞質分裂の失敗等で起きうる
 植物の倍数化の場合、身が大きくなる
 人間の場合は遺伝子の構造が複雑だからか、倍数化は難しい
まとめ:
・染色体対の数と生物の複雑さは比例しなそうである
・人間の場合は倍数化が難しいことから、遺伝子の発現量の制御等の関係から増やしすぎは良くないということが考えられる

2016年2月19日金曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/8/6) Ancient reproduction

担当:安澤
参加者:10人

概要

後期エディアカラ紀に生息していたRangeomorpha分岐群は自己相似的な分枝と固着底生性を特徴とする。RangeomorphのFractofususは走根状の無性生殖と繁殖体による分散という2種類の繁殖モードを備えていた事が判った。

議論点

生物が増えることに特化するとどうなるか

○特化の方向性
  • 早く増えるようになる
    • シンプルな生き物になる
      • 省エネ化
      • 体を小さくする
    • 一世代を短くする
    • 子供の数を増やす
  • 多様な環境で増えられるようになる
    • 他の強い生き物に媚びる
◯ウィルスが最強?
シンプルかつ細胞に寄生できる
ウィルス > 微生物 > 植物 > 動物
イメージ
○どうなるか
他の生き物がいなくなる?(でも実際はウィルス一強ではない)

まとめ

環境に対する影響まで話が進まなかったが、増殖速度と環境適応度という尺度評価は面白いかもしれない。

2016年2月16日火曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/8/20) Sideways genes

担当:小舘
参加者:9名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-08-20.html

元論文:
Ku, Chuan, et al.
"Endosymbiotic origin and differential loss of eukaryotic genes."
Nature 524.7566 (2015): 427-432.
http://dx.doi.org/10.1038/nature14963

概要:
 真核生物遺伝子のクラスタリングと系統発生解析で、細胞内共生説と遺伝子水平伝播説を検討。
バクテリアからの遺伝子伝播は偶発的であること、その後の継承は垂直であること、水平伝播は起こることもあるが長期的な進化には寄与しないことを示す。

議題:
データベースの情報を使うことのメリットとデメリット

→ 今回の論文は実験は行わず、DB解析によって知見を得ている。
 自ら実験を行わないということの影響は?


●肯定的見解
・(今のところ)データが増えるほど解析精度が上がる、という状況もある
・メタ解析によって手法の可否などを問題解決
・実験は実績を求めてしまうので、DBを使えば公平性?

●否定的見解
・データの信用度はどうか
・[データ→解析]という1つの論文の、[データ]から更に解析
 →条件が不明なときは不都合(GWASは構造が大事)


●よいDBとは
・実験の条件を網羅しておく
 - フレーム問題は?
 - 個人情報の問題(ヒトの場合)
 - → 将来、自動実験が実現したら網羅はできるかも


●その他の話題
・「データとったよ」論文 / 「データ解析したよ」論文
 - 一本ならばストーリーはシンプル。インパクトも?
 - 別々に論文化することで査読をラクに
・データに価値か、知見に価値か
 → アトラス的なものならばデータ自体に価値


●まとめ
 DBをいじりまわす側としては念頭に置いておくべき話題かもしれない。


2016年2月10日水曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/8/13) Chemical containment

担当:池野
参加者:9名

元論文:
Dosage delivery of sensitive reagents enables glove-box-free synthesis
Aaron C. Sather, Hong Geun Lee, James R. Colombe, Anni Zhang    & Stephen L. Buchwald; Nature 524, 208–211 (13 August 2015)

議題:
個人の技量によらない実験手法

■機械
×予算がかかる
×応用が効きにくい
△精度の限界
◯再現性が高まる
◯自動化

■人間
◯応用を聴かせることが出来る
×精度・感覚が人それぞれ
⇔◯職人技
×自動化

■個人の技量によらない実験手法のためのアプローチ
・なるべく工程を外注・外部モジュール化する
⇒その先に自動化がある?
・器具を扱いやすくして個人差をなくす
・試薬の量を細分化して保管・販売
⇒コスト高い?
・人間型の実験ロボットの推進(進行中)
     ・人間型であることに意味がある
          ・今までの施設、器具がそのまま使える
     ・学習したプログラムを複製・販売できる
          ・◯再現性
・VRによる練習・補助など
・実験器具のIT化(センサー搭載など)


まとめ:
人間が頑張る方針と、機械に置き開けていく方針は一長一短である。
現在人間型の実験ロボットの研究も進んでおり、実現すれば実験の再現性が取りやすくなるのではないか。

ただ、個人の技量によらない実験手法は、時間や費用のコストとのトレードオフである。


 

2016年2月9日火曜日

[火曜討論会2015] ​大学生物の教科書 第5章 光合成:日光からのエネルギー (B4 田河)


担当:田河

参加者:9名

概要:
- 光合成は日光のエネルギーを補足し、CO2とH2Oを糖質(グルコース)とO2にする代謝経路
- 光合成は明反応と暗反応の2つが存在
- 明反応は光エネルギーをATPと還元された電子伝達体の形の化学エネルギーに変換
- 暗反応は光を直接利用しないでATP、電子伝達体、CO2を用いて糖質を産生する。→3つ種類存在(カルヴィンサイクル、C4光合成、ベンケイソウ型有機酸代謝)
- 光合成を行う際はいくつかの異なる吸収スペクトルを持つ色素が利用される
- メインな色素はクロロフィル
- 光合成におけるエネルギー損失は多い
- これを向上できると未来の資源の有効活用に繋がる

議題:夜間にも使えるエネルギー源
■現時点で使えるもの
  • マグマ
  • 風力
  • 引力(潮力)
  • 石油、ガス(その他化学エネルギー)
  • 温度差
  • 電磁波、地場
  • X線(DNAに悪い)
  • 音波
■実際に使えるか
  •  マグマ(ある場所限られる→分子を1%励起するのには6800度必要だがその温度だと分子壊れてしまう)
  • 風力(励起状態にもっていけないかも、ミクロレベルでは安定しない可能性あり)
→光は分子を励起状態に持っていくのが容易、どこでも安定して手に入る

■そもそもエネルギーで何をできればよいか
  • 分子を励起状態に持っていく
  • ただし励起しすぎても悪影響がある


まとめ:
光の代わりにエネルギー源にできそうなものはありそうに思えたが、案外分子レベルで励起状態に効率よく持っていけるものが他に余りなさそうだということがわかった。
波であり粒子であるという光の特殊性を痛感できた議論になったと感じる。



2016年2月8日月曜日

大学生物学の教科書 4章 化学エネルギーを獲得する経路

担当:佐藤(広)

参加者:9名


概要:

・光合成しない生物のエネルギー燃料は主にグルコースである。

・グルコースからエネルギーを産出する経路は酸素がある場合(細胞呼吸)とない場合(発酵)で分けられる。

・細胞呼吸で獲得できるATPは発酵よりも大きい。

・代謝プール中の生化学的分子の濃度はほとんど一定だが、これはアロステリック制御によるものである。


議題:

グルコースのみで生活できるか


■生存するのに必要だと思われるもの

・呼吸 → 細胞が死ぬ

・水 → 体外に出さなければ良い?

・塩(ミネラル)

・アミノ酸(タンパク質) →腸内細菌が生産可能

・ビタミン → 壊血病等

・グルコース(糖質) 

・脂質 →グルコースから生産可能、エネルギーの貯蔵が役割?


■そもそもグルコースからエネルギーを産出するのに酸素やアミノ酸、水を必要とする。


■排出されるもの(失われる元素)は補う必要がある

 →それ以外は量の問題である(生存だけを目的にすれば)


まとめ:

 グルコースからエネルギーを産出するのに他の物質が必要であるため、グルコースのみで生活するのは難しい。しかし、脂質やアミノ酸のように体内で生産可能なものは無くても生活できる可能性がある。

2016年2月1日月曜日

[火曜討論会2015] ​大学生物の教科書 第三章 エネルギー、酵素、代謝 (B4 加賀谷)

担当者:池野
参加者:10名

概要:
  • 生物は活動するために多くの化学反応を利用しており、反応から放出されるエネルギーを利用して活動している
  • 酵素は、活性化エネルギーを下げ反応を促進したり、反応の手助けをしたりする。酵素の働きは、細胞側からの阻害因子によって抑制・制御される。


議題:個体間での燃費の差とは?
 
■ 燃費とは?
 同じ活動をした時に、水や食料を多く必要とする⇨燃費が悪い
 燃費が悪いとは
  • 基礎代謝が高い?
  • 体温が高い?
■ 燃費がいい
  •  メリット
    • 少ないエサで生きられる(あんまり動かなそう)
  • デメリット
    • エサが多く必要
    • 肉食っぽい?パワーがありそう
■ 結局燃費とは?
  • 吸収効率(腸の長さとか)と、出すはやさ(汗とか力とか)が影響?
  • 筋肉の構成とかも影響しそう
    • 遅筋・速筋(得意な運動が異なる筋肉を持っている)
  • 持続的に運動するには、脂肪をエネルギーに変える回路のパワーが影響しそう


まとめ:
 個体間でどのように燃費の差が生まれる原因となるのは、主に最後の部分が影響しそうだと考えられる。個人間で筋肉の構成などは必ずしも同じではないので、全く同じ運動をしたとしても、筋肉的に得意・不得意が生じるため、燃費の差のようなものを感じ取る結果になると推察される。