2015年5月28日木曜日

[火曜討論会2015]大学生物の教科書22章 動物の進化と多様性

担当:平田
参加者:9名

概要:

地球上には未知の生物が多数存在する。ゲノム解析や遺伝子比較によって動物種が単系統であることが分かってきている。それら動物種の身体の構造をボディプランというが、ボディプランは1.体の対称性、2.体腔の構造、3.体節、4.脚 の4つのパラメータで決まり、それにより様々な系統に分類される。


議論:

生物が対称性であることの意義


●左右対称である、とは?
→骨格、体腔の構造、見た目が左右対称である。内臓の配置等については考えない

●左右対称ではない生物
→高等な生物の中に左右対称でない生物はいないのではないか

●そもそも生物の発生において左右はどのように決めているのか?
→上下方向:重力で決まりそう
 前後方向:卵子への精子の侵入方向で決まりそう
 左右方向:軸を定めるものがない?
   ・タンパク質には右巻きや左巻きなどの有利な方向が存在する。アミノ酸も左右の方向が関係する。
    →分子レベルの左右の概念がマクロに影響しているのではないか?

   ・脳の 働きについては? 
    →右脳と左脳で人によって機能が逆ということはない。しかし右利き左利きの違いはある。これは後天的な要因が原因か?

   ・心臓が右側(逆)にある人は多くない?
    →決められた左右とは逆の状態は不利な可能性がある?

   ・シオマネキという片方のハサミが大きくなるカニの場合、どちらのハサミが大きくなるかはランダムである
    →生物や部位によって左右が決まっているものとランダムに決まるものがある?


●まとめ
生物の対称性、とくに左右対称性であることの意義を考えるにはまず生物の左右がどのように定められているのかを考える必要があった。左右を決定しているものはミクロな分子なのではないかという推論がなされた。

生物が対称であることの利点としては、生命を形成するさいに少ない部品で大きな構造を作れること、対称であることより遺伝子をコードする数が減るという点が挙げられた。

2015年5月26日火曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2014/11/13) Time to eat green

担当:小舘
参加者:9名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2014-11-13.html

元論文:
Global diets link environmental sustainability and human health
David Tilman & Michael Clark
Nature 515, 518–522 (27 November 2014)
Published online 12 November 2014
http://www.nature.com/nature/journal/v515/n7528/full/nature13959.html

概要:
世界的な食生活の変化がもたらす弊害と、代替となる食生活の普及に向けた課題について。

議題:
食物の摂取以外に考えうるヒトのエネルギー獲得法

・エネルギーとは何か? →ATP
・点滴で補えないか? (満足感は電気信号とかでなんとかする)
 →全然足りない。首から入れるような高効率のものでも厳しい


エネルギー効率への攻め方として…
●身体の外側から:消費を減らす方向
・脳だけになる(電脳化)
 →文化的な生活を送れるのか?
・パワードスーツ、義肢
・点滴の強化

●身体の内側から:獲得を増やす方向
・体内で収支を完結させる 代謝物の再利用
・光合成(葉緑体を取り込む)
 →窒素固定が難しい
・人工臓器(電気エネルギー)
・エネルギーを生む微生物を取り込む


●その他の話題
・現状の技術では胃に吸収させなければ生き残れない。
 食事という方法は感染症にも強く、効率がすごく良い。

・多少妥協して:完全栄養食を利用する
 →食事の喜びはどうなる?

・環境を考慮すると、食料生産のためのエネルギーを減らすことも重要


まとめ:
 食事の必要性をなくすということで身体を捨てる方向にも話が進んだが、文化的な面は犠牲になりそうだ。食事の喜びはどうするかという話題も後半に出たが、今日の議題全般に言える問題だろう。

2015年5月25日月曜日

[火曜討論会2015]NaturePodcast(2014/11/06) Colossal Cretaceous critters

担当:佐藤(壮)
参加者:9人

概要
絶滅した哺乳類であるゴンドワナリウム亜目は最も謎の多いグループである。今回初めて発見されたゴンドワナリウム亜目の頭蓋骨の化石から、この新種は大きな体躯と高い周波数を捉える耳、鋭い嗅覚をもった俊敏な生物であったことが予想される。http://goo.gl/vXr6az SS

議論点
化石の残らなかった生物について存在や特徴を予想できるだろうか

生物の化石 = 化石燃料、骨、型、生痕

新発見の化石  ⇒ 未発見の生物についての予想
例:捕食者  ⇒ 餌となる生物が予想される

ビンタナ・セルティチを例にとって考える
 ー超音波が聞こえた
   聞こえる必要がある環境下にいた? 超音波を出すような餌がいたとか
   超音波は出すことが可能だっただろうか?
   聞くだけで有益な情報となりうる?
 ー大きい目
   暗くても視界を確保できる 夜行性?
   超音波が聞こえるのも暗闇に適応するため?
 ー大きな嗅球
   鋭敏な嗅覚
 ー高い咀嚼力
   硬い植物も食べられる
 ーかなり俊敏な動きができた

化石から読み取れたビンタナ・セルティチの情報から予測される周囲の状況
・超音波を出すような餌、もしくは天敵がいた
・俊敏さを活かせるような地形だった
・超音波を出すような餌がいたとしたら、ビンタナ・セルティチは雑食性だった

まとめ
 生物が化石として残るには様々な条件が必要である。それを考えると、化石として残らなかった、もしくは未発見の生物がいることを考えるのは妥当である。
 ある生物どうしが捕食ー被捕食の関係にあったということは、片方からもう一方の生物を予測する上でわかりやすい情報だと考えられる。それらの情報は、その生物の全体像をつかむには不十分かもしれないが、ある程度の特徴を捉えることはできそうである。

2015年5月20日水曜日

[火曜討論会2015]大学生物の教科書 21章 地球上における生命の歴史

担当田河
参加者9名
 

概要
・地球上における生命の歴史を知る上で化石は重要な情報源であり、現在までにその化石の生きていた年代を正確に特定できる方法がいくつも生まれた
・様々な要因によって地球の環境は時代を経るごとに変化しており、その都度種の大量絶滅や新たな種類の生物が登場した



議論:

 環境の変化に対して柔軟な(強い)生物とはどんなものか

現在環境の変化に対して強い生物はいるか
→クマムシ、ゴキブリ(寒さには弱い?)、肺魚(乾眠)
体が小さいほうが生命維持エネルギーが少なくてすむので有利そう
 
環境の変化というのもどのくらいのレンジで考えるべきなのか
→現在も長い目で見れば寒冷の時期。よってゴキブリも実は寒さには強い?

環境変化の少ない場所で生活することで生き残る種もいる
 →シーラカンス

そもそも種として生き残れば良いのか?
→プラナリア(体を分割できる)
・種として生き残れば良いのであれば数が多く、進化速度の早いもの(単細胞生物等)が有利
・人間も知識や科学を用いれば種としての適応力があるとも言える

 
●まとめ
環境の変化に強いと一言に言っても種として生き残れば良いのか、個別に強いほうが良いのかが大きな疑問として上がった。
長期的な生存を考えるとやはり種として環境変化に強いほうが自然で、その場合では種の多さ、進化速度が他を比べて圧倒的に早い小さな生物(単細胞生物等)が環境変化に対してかなり柔軟ではないかという結論になった。
 
環境の変化の少ない場所に棲息することで絶滅を回避するシーラカンスのような生き物もおり、様々な生存戦略が存在することもわかった。