2016年1月27日水曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/7/30) Muscle cell mechanics

担当者:池野
参加者:10名

元論文:

Mitochondrial reticulum for cellular energy distribution in muscle
Brian Glancy, Lisa M. Hartnell, Daniela Malide, Zu-Xi Yu, Christian A. Combs, Patricia S. Connelly, Sriram Subramaniam & Robert S. Balaban
Published online 29 July 2015

要約:
細胞内でのエネルギーの配給は多くの関心を集めている。今回、骨格筋において、ミトコンドリアの網状質がプロトン駆動力という形でエネルギー配給の伝導路としての役割を果たしていることを証明、これがエネルギー配給の主経路であると提案する。

議論点:ミトコンドリアが進化に与えてきた影響

・ミトコンドリアが細胞に取り込まれた時期は?
予想:30億年ほど前。酸素が地球上に増えた時期?

・ミトコンドリアの祖先:αプロテオバクテリア
 ・光合成する
 ・好気性
 ・自らは酸素を生み出さない

・ミトコンドリアを取り込むことで何が変わったか?
 ・酸素呼吸が可能になった
 ・筋細胞内でのエネルギー拡散が可能になった
 ・脂質の合成が可能になった?

 ・(恐らく)真核細胞はミトコンドリアを必ず持っていて、原核で持っている生物はいない
  ・ミトコンドリアは真核細胞への進化を促進したか、または真核細胞に必須な機能を提供した可能性がある
 
 ・酸素を扱うのであれば、活性酸素の処理機構が必須
  ・ミトコンドリアを取り込むことによって活性酸素の処理機構の発達が強制された可能性
  ・活性酸素の影響を抑えるために細胞内での区画化が促進された可能性


まとめ:
議論を通じて、細胞はミトコンドリアを取り込むことによって酸素を扱えるようになり、現在の真核細胞の機構を決定づける要因となったのではないかという仮説が立てられた。


2016年1月21日木曜日

[火曜討論会2015] ​大学生物の教科書 第二章 ダイナミックな細胞膜(B4 平田)

担当 : 平田
参加者 : 10名

<概要>

  • 細胞膜の大部分は通常リン脂質でその疎水・親水性領域の特性より二重層を構成している。細胞膜にはタンパク質が含まれており、様々な機能に関わる。また細胞膜は絶えず作成・変換・融合・破壊が繰り返されていることより章題では"ダイナミック"という表現がなされた。
  • 1つの細胞が別の細胞に特異的に結合する"細胞認識"、2つの細胞間の結合を強化する"細胞接着"の2つの働きにも細胞表面のタンパク質が関与。
  • 細胞内外への物質のやりとりについて、外部エネルギーを必要としない"受動輸送"、外部エネルギーにより駆動する"能動輸送"がある。また高分子については細胞膜からちぎれて出たり入ったりしてやりとりを行う。
  • 細胞は他にもエネルギー変換や情報処理などの機能も備えている。



<議題>

 能動輸送をがんばるとどうなるか?

◯ "能動輸送"とはなにか?
 ・濃度勾配に逆らって物質を運び濃度勾配に差がある状態を保つもの
 ・エネルギーが必要な輸送
 ・濃度差がほぼない時の輸送

◯ "がんばる"とはどういうことか?
 ・運ぶ対象の物質をガンガン運ぶ(多量に高速に)ということ

◯ 身体への影響は"どうなるか?"
 ・毒物の排出がはやくなるのではないか
 ・膜電位の変化に影響し神経の情報伝達が速くなるのではないか
 ・一度に大きな電位が発生することにより感覚の感度があがるのではないか
 ・物質の吸収率があがるのではないか
 ・濃度を上げることができることにより細胞内への貯蓄が可能になり
  細胞の小型化につながるのではないか
 ・大きなエネルギーが必要になってしまうのではないか

◯まとめ
能動輸送の働きについての理解がないと発展しにくい議題であったが、細胞レベルでの性質の変化が身体全体に与える影響は大きなものになりそうであることが考えられた。



2016年1月19日火曜日

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/7/23) RNArchitecture

担当:小舘
参加者:10名

音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-07-23.html

元記事:
http://www.nature.com/news/a-cellular-puzzle-the-weird-and-wonderful-architecture-of-rna-1.18014

概要:
 RNAはDNAとタンパク質との間で情報を伝達するためのものとされるが、それだけではない。生細胞内のRNA構造は多様であり、それが疾患に結び付く例もある。

議題:
RNAとタンパク質の住み分け・使い分け

→RNAもタンパク質も構造をとり機能を果たすようである。その違いは?


●RNAの必要性
→転写量の調節
 DNAから直接タンパク質をつくるのではなく、RNAを介することで
 生成の効率や調節に融通がきく。

●[DNA→RNA→タンパク質] という流れで…
ここでのRNAはmRNA。
これ以外に、mRNAの分解を促進するなどのncRNAがある。

●RNA/タンパク質でできること
・RNA:4文字 塩基、リン酸、糖 ←おおよそ親水性
・タンパク質:20文字 アミノ酸 ←疎水性・親水性

→RNAでどこまでできる?
・親水性だけでは厳しそう
・結合や構造の多様性はあまりない?
・リボザイム(酵素として働くRNA)の例もある


●まとめ
 RNAワールドなどの話題には立ち入れなかったが、RNAの構造/機能という観点は今後の研究も含めて面白そう。

2016年1月13日水曜日

[火曜討論会2016] Nature Podcast(2015/7/16) Brain drain

担当:佐藤
参加者:8名

論文要約:
外傷性脳損傷(IBT)は慢性外傷性脳症やアルツハイマー病の環境リスク要因として最もよく知られ、疾患の特徴はリン酸化タウタンパク質の蓄積を主病変とするタウオパチーである。今回我々はTBI後の疾患の早期ドライバーとなるシス型リン酸化タウを発見し、対応する治療法を提案する。
http://www.nature.com/nature/journal/v523/n7561/full/nature14658.html

議論点:脳への衝撃に関して定量的な基準を定めることはできるか

知りたいこと「Aの量の衝撃でBの量のシス型リン酸化タウが増える」
これがわかれば定量化できそう。

Aの量の測り方:
 ・TBIを発症するのに必要な衝撃を基準にする
 ・外部で原因となったエネルギー量を用いる
 ・経験歴の長さを用いる
 ・頭の加速度を測定する
   ⇒ヘルメットやヘッドバンドに加速度計を取り付ける
   ⇒頭の内部にだけ影響のあるような衝撃を測れない?
 ・脳内部の血流を測る
   ⇒侵襲型で大変そう
 ・頭蓋骨の骨伝導とかから図る方法
 Aについてはなんとか図れそう

Bの量の測り方:
 ・PET
   ⇒大掛かりな機械が必要で気軽には測れない
 どのタイミングで測るかなど、大変

まとめ:
脳への衝撃はなんとかして図れそうであるので、問題なのはシス型リン酸化タウの測定
スポーツ選手など、TBIのリスクがある人などを対象に研究が行われたりしないだろうか
命に関わる疾患なので「あなたの脳への衝撃は危険域にありますよ」というような診断が出せるような枠組みができたら良さそう

2016年1月12日火曜日

[火曜討論会2015] ​大学生物の教科書 第一章 細胞:生命の機能単位(B4 田河)

担当田河
参加者9名


概要:
  • 生命体は高分子がただ単に集合するだけではなく、それらが区画化されていなければならない→細胞
  • 細胞には真核細胞と原核細胞が存在しており、それぞれの細胞には様々な機能を持った小器官が存在している(例:細胞壁、細胞質、核、リボソーム、ゴルジ装置、葉緑体)
  •   真核生物の進化の過程として、細胞内共生説が存在する



議題:人工的に細胞をだすには
 
今何が出来ないのか
  •  全く別の素材から細胞を作る
  • 人工的に細胞内共生?
逆にいまできること
  •  人口細胞膜
  • 進化する細胞→細胞の複製昨日が向上した例あり
細胞に必要な要素とは
  • 膜がある
  • 自己複製可能       
  • 生命活動を恒常的に維持   
 → 上2つは既に実現されているが、分裂しつつ人間に組み込める機能を持った細胞はまだ作られていない
 ゲノム編集では難しいが人工的に細胞が作れたらできること
  • オールマイティな細胞(万能がん治療細胞とか)
  • 外部因子によって機能が変化する細胞  

まとめ:
既に人工細胞はある程度作られてはいるが、未だに人間に埋め込むことでメリットをもたらすようなものは開発されていない。今後人工的な細胞が作られるとしたら、ゲノム編集等の他の技術では実現することが難しい機能変化や万能細胞的な用途で用いられそうである。