2016年5月31日火曜日

細胞の分子生物学 10章 膜の構造 第1~2節

担当:栗本
参加者:10名

概要:
第1節 脂質二重層
 脂質二重層はすべての細胞膜の基本構造であり、自然に配列して二重層を作りやすいという脂質分子固有の性質に起因している。この細胞膜の総重量のほぼ50%を占めているのが脂質分子で、全て両親媒性である。構成成分と温度の2つに依存する流動性は、膜輸送などにおいて重要な要素である。
第2節 膜タンパク
 生体膜の基本構造は脂質二重層だが、膜に特異的な機能の多くはタンパク質が担い、さまざまな方法で膜に組み込まれている。二重層の両側で機能したり、二重層を超えて分子を輸送したりできるのは、膜通過タンパクのみである。膜内のタンパク分子や脂質分子は特定の区画に局在しているが、膜タンパクの拡散はその区画内でしか行われない。

議題:
細胞膜の変化の過程

細胞とは...区画化、分裂、代謝を行う。生命の最小単位である。

細胞膜の機能
・内と外に分ける     *
・分裂したり、結合したり
・物質の輸送        ⭐︎
・特定のものだけ通すゲート ⭐︎

古細菌はエーテル脂質
真核細胞はエステル脂質
→ 環境的に、酸素が多くなってきたので、エステル脂質になっていった
  エーテル脂質は熱耐性がある
細胞膜の機能は昔から持っていたのか?
→ 持っていたのではないか(古細菌は持っていたのではないか)

膜の構成成分:脂質(*)、タンパク質(⭐︎)  [上の機能は記号の方に大きく依存している]
大腸菌の細胞数から考えると、構成成分(脂質、タンパク質)の種類は増えた
→ それによる利点があったのだろうと考えられる

まとめ
 細胞膜が元々どうであったのか、変化の過程が分からないため、難しい議題となった。しかし、細胞膜の構成成分の種類は増えていて、それによる利点まで議論できれば良かったが、時間切れとなってしまった。何かの折に話し合う機会があれば面白そうだと思った。

[火曜討論会2016] Nature Podcast(2015/9/10) Plankton Clouds

Nature Podcast(2015/9/10) Plankton Clouds
元論文(http://www.nature.com/nature/journal/v525/n7568/full/nature14986.html)
担当:田河
参加者:10名

概要:
氷雲の形成のメカニズム(主に氷雲の核について)についての研究
氷の結晶ができるには、単に周りの気温が氷点下になればいいというわけではない
→-38まで氷にならずに存在することもある

どうやって結晶になるか?
→結晶になる時、空気中の微粒子を核として必要とする場合がある

どのように核が運ばれてきて、それを利用するのだろうかを研究している
→核をINP(Ice-Nucleating Particlesと呼ぶ

一番のINPは砂漠の砂が上空に運ばてINPとなる
→海上では?

海上の有機物を調べた結果、波の動きによって空気中に放出され、それが風に巻き上げられて大気中に上がることが判明した

メカニズムとしては波が白くなって崩れるときたくさんの泡が割れ、有機物の混ざった膜水滴が生まれる。それが大気中に上がっていく

遠隔操作の車両を使って海の一番上の層をサンプリングした結果、有機物に富んでいた
その中でもプランクトンの排泄物(0.2μm未満)が核になっていそうだというのがこの論文のキモ

有機物サンプルを調べた結果植物性プランクトン(Thalassiosira pseudonana)のexudate(にじみ出るもの、浸出液)を発見し、さらにそれをプランクトンと分離して実験した結果exudateのみでも氷の核になることを発見した
→陸から離れた場所で氷が発生するのはこれが原因か


議題:生物を用いた人工降雨の可能性

  • 有機物
    • ヨウ化銀→弱い毒性
    • 砂→大きさ様々
    • 塩の結晶 →塩害
  • 無機物 
    • プランクトンの浸出液(0.3μm未満)
  • 必要な条件
    • 上空まで上がれる大きさ、重さ
    • 構造が氷と似ている→これを作れる生物を作る?寄生させてもいいかも
  • 候補
    • DNA折り紙(水の構造に似せて作る)
      • コストはかかるがニーズはありそう
      • DNA汚染の可能性 
      • タンパク質やRNAでもいいのかも
まとめ
生物とは離れるが、DNA折り紙のような応用性のある物質を用いて氷と同じような構造のものを作り、それを上空に送ることで氷雲を作れるのではないかという結論に達した。やはり生物そのものをもちいて雨を降らすということは難しいそうということがわかった。









 


 

2016年5月27日金曜日

細胞の分子生物学 9章 細胞の観察 第1~2節

担当 : 甲斐
参加者 : 10名

概要
第1節 光学顕微鏡で細胞を見る
染色,固定した細胞を通常の光学顕微鏡で調べたり, 蛍光色素と結合した抗体を用いて特定の分子の細胞内での位置を蛍光顕微鏡で知るなど多くの光学顕微鏡技術が細胞観察に利用できる。
第2節 電子顕微鏡で細胞と分子を見る
急速凍結法という構造を忠実に保ったまま観察したり、同種の粒子から得られる情報や1つの対象をいろいろな角度から撮った画像から得られる情報をコンピュータ解析し三次元像に再構築したりできる。これらの方法を組み合わせ、顕微鏡の分解能や視野を個々の巨大分子などを画像化できるレベルまで高められるようになった。
 
議題
どこまで細かく見れば事象を説明できるか

事象とは?→次の瞬間の行動など(どのレベルで見るかによって変わる)
観察対象が小さいほど観察する行為自体が影響を与えるのでは?
→どこまでの大きさなら影響を無視できるか疑問

原子レベルでの事象
移動する方向、親水性など→原子間で反発が起こるかなど確率的要素が絡む
個体レベルでの事象
次の瞬間の体の動きなど

事象により観察するレベルが異なる

まとめ
どのレベルにおいて観察するかは、自身が観察したい現象によって決定すると考えられる。ただし、観察対象が原子レベルまで小さくなると確率的要素が絡むようになるため、短期間的な事象の予測は難しいと考えられる。

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2015/9/3) The weather revolution

担当:佐藤(広)

参加者:10名


音源:
http://www.nature.com/nature/podcast/index-2015-09-03.html


元論文:
The quiet revolution of numerical weather prediction
http://www.nature.com/nature/journal/v525/n7567/full/nature14956.html


概要:
数値予報はデータ同化, アンサンブル予報などの技術的・科学的進歩により精度を向上させた. しかし, ムーアの法則の終焉などにより, 現在と同等の向上速度を維持するにはかなりの難問が生じることが予測される.


議題:
脳のシミュレーションに必要なもの

■知能をどう再現するか
・ 自己学習とは?
 → 自身を再コードする仕組みは不可欠
 → 身体の再現性も学習に寄与
・ 能動性, 汎用性の確保
・ (シミュレーションされた)脳における報酬とは?
 → 一個人に似せることを目標にする

■計算リソースがあればいい?
 → ハードウェア側の革新
  → メモリスタ等

■脳に対する入力とは?
 → 五感 
  → ニューロンの発火

まとめ:
 脳のシミュレーションに必要な道具は揃ってきているような気がする. ただし, 一番重要である脳の仕組みについてはまだ分からないことが多い.

2016年5月20日金曜日

細胞の分子生物学 第7章 遺伝子の発現と調整 1~5節

担当 : 笹澤
参加者 : 10名

概要

第1節 遺伝子調節の外観

多細胞生物に様々な細胞が生じるのは発現する遺伝子の組み合わせが異なるからである。さらに、細胞は環境の変化に応答して発現様式を変えることができる。その調整はhつ限の各段階で行われるが、転写段階での調整が最も重要である。

第2節 遺伝子調節に働く細胞モチーフ

遺伝子調節タンパクは、DNA二重らせんの特定の短い延期配列を識別し、転写する遺伝子を決める。これらのタンパクはそれぞれ構造モチーフを持ちそれを用いてDNAを識別する。

第3節 遺伝子スイッチの仕組み

遺伝子調節タンパクは、細胞内でここの遺伝子の転写のオン、オフを切り替える。原核生物と真核生物ではその方法は異なるがどちらも多彩な方法で転写を制御する。

第4節 専門化した細胞を作り出す分子機構

専門化した細胞は、分裂を繰り返しても固有の性質を維持できるので、各細胞の遺伝子調節機構はいったん確立されれば安定に受け継がれていく。

第5節 転写後の調節

DNAの転写以外の段階でも遺伝子の発言の調節は行われている。

議題

生物における周期の重要性

生物が持つ周期的なものとその要因

概日時計 → 生物は元々持っている
細胞分裂  
睡眠 → 日光?
空腹 → 活動による(周期的とは言えない?)
ライフサイクル

日光が当たらない深海などに住む生物は周期という概念を持つのか?

潮の満ち引きなどで周期を持つ?

まとめ

私たち人間は基本的に24時間を一周期として生活していて細胞もそのように進化しているように思えた。深海のような一日中明るさなどの変化があまりないような場所のに住む生物が周期という概念を持つのかはとても気になった。

2016年5月10日火曜日

細胞の分子生物学 第8章 タンパク質,DNA,RNAの操作 1~5節

担当:加賀谷
参加者:10名

概要

  • 細胞をばらばらに分離して精製することで、様々な分析に用いることができるようになる。また、ハイブリドーマは、均一なモノクロナール抗体を無限にエル手段として広く利用されており、抗体は医療を含めて様々に用いられる。
  • タンパク質の多くは、他のタンパク質との相互作用によって働くため、相互作用を調べることは重要であるが、その手段は様々である。構造が似たタンパク質は機能も似ていることが多いため、データベースで検索するなどして予測できる。
  • DNAを分析・操作する技術を用いると、調べたい生物についての遺伝子の同定・単離・塩基配列の決定が可能になり、それらの遺伝子の産物タンパク質をチア量に生産させて、研究や医療など様々に利用することができる。
  • 遺伝学と遺伝子工学によって、細胞や遺伝子機能などを知ることができるようになった。特定の遺伝子を破壊することで、その機能を知ることができるし、マイクロアレイなどによって遺伝子の発現を大規模に調べることもできる。


議題

精神的な特徴は遺伝要因なのか環境要因なのか?

精神的な特徴とは?

  • 考え方
    • ポジティブ or ネガティブ
    • クリエイティブか (創造性が高いか?)
  • 社交性
  • 気性

環境の影響は年齢によって異なる?

  • 年齢が高いほど影響を受けにくくなる傾向?
遺伝によって環境が変わる?
  • 遺伝に左右される表現型がそもそもの環境に影響を与えている?
    • 足が早いとか
    • イケメン?とか?
環境で変わる?
  • 親の教育
  • トラウマ
  • 置かれている立場
    • 例えば『囚人と看守』の実験など
  • 長男かどうか
  • 生まれた月
    • スポーツ選手は4-6月生まれが多いらしい

まとめ

僕の中では、『遺伝によって環境が変わる』説がかなりしっくり来た感じがした。そもそも遺伝要因と環境要因を分けにくいという印象があるが、これらは実験においては一卵性双生児の協力を得て検証されるのだそうだ。
 また、議論の中ではクリエイティブ性と精神疾患に関連した遺伝子変異の話や、その中でセロトニンに関連した機能が関わっているという話などが出た。




2016年5月1日日曜日

細胞の分子生物学 第6章 ゲノム情報の読み取りーDNAからタンパク質へ 第1~3節

担当:平田
参加者:10名


概要


第1節 DNAからRNAへ

  • DNA上の遺伝子をRNAの塩基配列にコピーすることを転写といい、RNAポリメラーゼによって行われ、これによりmRNAか作られる。
  • 遺伝子領域にはエキソンとイントロンがあり、ともにRNA転写されるがRNAスプライシングによってイントロンが取り除かれる。
  • 上記の過程でうまく加工されたmRNAのみが核膜孔複合体を通って細胞質へ運ばれる。

第2節 RNAからタンパク質へ

  • mRNAの塩基配列は3個ずつ(コドンと呼ぶ)翻訳される。翻訳のためにはアダプター分子が必要であり、これをtRNAと呼ぶ。
  • タンパク質合成はリボソームで行われる。
  • mRNAの翻訳はAUGコドン(開始コドン)に始まり、UAA・UAG・UGAのいずれかの終止コドンで終わる。
  • 合成されたタンパク質はシャペロンにより折りたたまれる。
  • 上記の過程が正しく行われなかった場合に対処する品質管理機能が備わっている。

第3節 RNA世界と生命の起源

  • 今の遺伝情報の発言の仕組みができる前にRNA世界が存在していたのではないかという説がある。
  • 生命には遺伝情報の保存と遺伝的可変性が必要であり、RNA分子には情報の媒体としての機能と触媒としての機能が備わっていることから、生命誕生の主役が自己複製できるRNA分子だったという可能性がある。
  • 周辺のRNAの中に別の形でRNAの生存を助ける反応を触媒するものがあれば、異なるRNA分子からなる集団が別々の働きを専門に担当し、効率よく複製を行う協同的な系へと進化する可能性がある。その後、膜による区画化が起きてRNAの遺伝情報の担体としての本格的な進化が始まったと考えられる。
  • タンパク質の進化について、非翻訳性のタンパク質合成が最初のRNA世界で生じ、そのときの触媒がRNA分子だった可能性がある。すでにRNA世界には特異的にアミノ酸と結合するアダプターが生じていて、それが遺伝暗号の始まりになった可能性がある。
  • RNA世界からDNAを用いるようになったのは、DNA鎖の方がRNA鎖よりも安定なことと、UからTを用いるようになったことによりRNAよりはるかに修飾がしやすくなったからだと考えられる。


議題

DNAに取って代わる遺伝物質は現れるか
(DNAに何の機能を追加すればより良くなるか)

DNA自体の触媒化

  • できることはDNAのみでやれば良いのではないか
  • タンパク質で成し得ないことをDNAやRNAの立体構造により達成できる可能性がないとも言えない

誤り検出・訂正機能


  • これにより遺伝子機能に重要な部分の変異を避けることができる。
  • 変異により不具合が生じた場合は人工物か他人のものに置き変える
  • 親戚のゲノムから誤りは検出することが可能か?

マーキング

  • 例:何世代目かを記す符号
  • 人工のゲノムを扱う際解析がしやすくなる
  • すでにコシヒカリにはゲノムにマーキングがされている
  • ゲノムのハッシュ値等を記しておけば上の誤り検出にも利用できる?

DNAの暗号化

  • ゲノム編集が不可能な領域を作る
  • 転写前に何かのシグナルになるものをかませる
  • G-C含量が変わると不具合が生じることよりコドン自体を変えるのは不可能か?


まとめ


情報系の思考を絵に描いたような、ゲノム情報の暗号化や誤り検出といった話題で盛り上がった。
ゲノムのマーキングについては米の品種の一つであるコシヒカリですでに実現しているというし、誤り検出等も人為的であれば近縁の人間のゲノムから実現できる可能性も考えられた。このように現実的な話題も挙げられた一方、DNAの暗号化については実現した場合の有用性こそは議論できたものの、実現するためのハードルの存在も認識できたと思っている。
しかし、来たるゲノム編集時代に備えてこのような機構を考えておくことは非常に重要であり、さもなければ誰でも好きなゲノムを好きなように改変することが可能な無法地帯へと突入してしまう可能性がないとも言い切れない。そういった意味ではやや妄想的ではあったが有意義な議論ができたと感じた。