2013年9月27日金曜日

HMGセミナー 第16章: ヒト疾患遺伝子と感受性因子の同定 (後半)

担当: 田高
参加者: 9人
教科書: ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<16.5節> 疾患の原因となる配列多様体の同定方法について
<16.6節> 疾患遺伝子同定の事例紹介
<16.7節> 疾患遺伝子同定はどの程度うまくいっているのか
<16.8節> まとめ

議論点:
NGSを用いて疾患のあるヒト・ないヒトの比較研究をしたときに見えるものはどんなものか
  • 疑問点をより詳しく
    • NGS: 個人の持っている少ない変異を見ることに特化
    • GWAS: ある程度多い変異を対象にして統計検定等をする
    • ギャップがある。解決策は?
  • NGSでの解析
    • 知られていないもの(新しい変異の発見)を対象
    • 例) 親子でゲノムを読んで比較
      • 例) 自閉症の研究
        • 3つほど論文が出ているがそれぞれで発見されている変異は異なる
          • 実験ごとの一致・再現性?
  • 弱い関連因子の長いリストを得ることに意味はあるのか?
    • それより因子同士の関連を見ることが重要
    • データの見方の問題?

その他の議論点:
・統計学的解析で支持されているが機能解析で支持されていない様な配列多様体は、疾患原因と言ってもよいか。その信頼性は?
・複雑疾患の感受性因子を同定するのにどれくらい(時間が)かかるか
・(16.5.3, p.614, 事例研究5: ラクターゼ活性持続症) 生存に有利に働くようなSNPが消える理由
・精神疾患と中間表現型の解析方法
・(16.5.3) 遺伝子領域以外にあるSNPが疾患原因となるメカニズム
・(16.7) 複雑疾患予測の信頼性
・オッズ比と予測の信頼性の関係・その意味

2013年9月24日火曜日

HMGセミナー 第15章:複雑疾患の感受性に関するマッピング(前半)


担当:小澤
参加者:9名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<15.1節>複雑疾患の流れと、遺伝・環境要因を示す双生児研究や養子研究について
<15.2節>主要な感受性座位を明らかにする分離解析について
<15.3節>複雑な性質の連鎖解析の疾患のタイプによる手法とその特徴について
<15.4節>特定の疾患と感受性アレルの関連解析について

議論点:
診断基準がはっきりしない病気で遺伝子の研究を行うには?
表現型にラベリングせずゲノム関連快適できるか?

診断基準、今の時代はコンピューラにクラスタリングor階層クラスタリング
  -より詳細化の方向へ 表現型を数値化
  -一方、詳細化で失われたものも

血液型で、精神疾患がどれだけ分かるか

ラベリングの社会的and治療への影響が出てくると予想される
・テーラーメイドな病気や治療

その他の議論点:
・(重症度なども含め)遺伝要因に関係しない病気は?
・それぞれの要因が主となる病気の例・カテゴリーについて
・病気の研究に限れば、遺伝要因・環境要因は分けない方が楽と言えるか?

・GWASを導入した時に解決できる(できない)領域は?

・精神疾患の遺伝的要因
・妻子研究の精神医学への貢献度


まとめ:
診断基準やラベリングについての議論となりました。
将来的に、ヒト一人一人に対するテーラーメイドな治療が用意できる日も来るかもしれません。

2013年9月10日火曜日

HMGセミナー 第14章:メンデル遺伝形質の遺伝的マッピング(前半)


担当:寺嶋
参加者:9名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<14.1節>組換えの種類と遺伝距離や遺伝地図との関係
<14.2節>遺伝的マーカーと連鎖解析について

議論点:
組換え価に男女の差が出来るのは何故なのか
組換えの数が女性の方が多い生物学的意義とは

なぜ男女差が生まれるのか
 -組換えにより男女差が生まれるメカニズム(仮説)
  -交差をサポートするタンパク質 or RNAが存在
   -量の問題か、分布の問題か
    -分布なら時期毎のタンパク質の分布を調べれば分かるかも
  -性染色体上の遺伝子が操作
   -X:男女ともにある
   -Y:男性しかない
    -Y染色体に交差をサポートするタンパク質またはRNAを阻害する要素
    -X染色体が2倍あるので交差をサポートするタンパク質も2倍
     →X染色体のほうがよりシンプル
      -不活性化は体細胞と分裂の段階では条件が違う可能性
      -ただし、交差をサポートするタンパク質が全てX染色体上にあるかは疑問

この差に何の意味があるのか
 -組換えの男女差の生物学的意義
  →偶然?
  -交差の利点とは
   -大まかにバリエーションを確保するため
    -微調整は点変異により行っている
   -バリエーションを作る方法の内ではがんになりにくい方
    -点変異タンパク質が変わるので有害
    -交差は交差が起こる相手による
   -交差が大変なら別の方法だったかもしれない
   -回数は生物によって違いそう
    -環境が激変するほど多くなる
  -精母細胞と卵母細胞はゲノム以外にも違いがあるのだろうか
   -外界からのシグナルにより組換えが起きるのかもしれない
  -男性の場合、端の方に変異が入るように見える
   -テロメア等ではないか
    -変異が入りにくい仕組みになっているのかもしれない
   -全体ではどうなっているのだろう
   -その方がバリエーションが増えるのかもしれない
  -染色体の位置に性差はあるのだろうか

個人内でも個人間でも交差数にはばらつきが見られるが、交差数を決定する要因とは何かという議論点とも関連が深そう

その他の議論点:

<遺伝的マーカー>
・遺伝的マーカーは血液型から始まり、現在SNPが主に使われているが、新たな手法としては何が考えられるか

<ホットスポット>
・ヒトのホットスポットはチンパンジーではホットスポットではないが、他の生物についてはどうか
・ホットスポットとなる配列はどのようなものなのか

<遺伝地図作製の方法>
・組換え価を用いた遺伝地図作製よりも良い方法は存在するのか

<用語の定義>
・cMという概念の必要性とは

<交差の数の違い>
・個人内でも個人間でも交差数にはばらつきが見られるが、交差数を決定する要因とは何か

まとめ:
遺伝的マッピングにおける組換えや遺伝的マーカーを用いた連鎖解析に関する節でした。議論点となった組換えの男女差については、多方面に話が広がっていき勉強になりました。