2016年11月30日水曜日

細胞の分子生物学 20章 がん 第1〜3節

担当:栗本
参加者:8名

<概要>
第1節:がんは変異細胞クローンが周囲の細胞を犠牲にして繁殖し、その子孫が細胞社会全体を破壊する病気である。そのため、いくつもの制御機構をすり抜けて増殖し、細胞分裂が停止しない。また、転移する。
第2節:がん発生率はある値より下がらないが、がんの80〜90%は避けられるか、遅らせられる。発がん因子は多種多様だが、ほとんどはDNAを損傷して変異を起こさせる。
第3節:がんになると活性が過剰になるがん遺伝子と活性が過少になるがん抑制遺伝子があり、それぞれの同定方法は異なる。効率良く同定する強力な新手法がいくつかあり、候補遺伝子が見つかるとマウスで評価できる。

<議題>
老化と病気の違い

老化...年を取るにつれて機能が衰える
     自分自身の中で老いていく
     例) 認知症(認)、耳が遠くなる(耳)、老眼(眼)、骨粗しょう症(骨)、関節痛

病気...病原菌がある(外界からの影響)
     精神疾患、生活習慣病など?
     例) 感染症(感)、遺伝病(遺)→1型糖尿病、依存症(依)、アレルギー(ア)

例の症状を年齢依存性と外的要因の2軸でプロットしてみる。(図の通り)

<まとめ>
 軸を年齢依存度と外的要因の2つで取ると、骨粗しょう症が がんに1番近かったのは面白かった。致死率など軸をどう取るかで大きく変わってくると思うが、今回プロットした結果だと、がんは老化に近そうだった。



2016年11月22日火曜日

細胞の分子生物学 19章 細胞結合、細胞接着、細胞外マトリックス 第1〜7節

担当:天満
参加者:8名

概要:
多細胞生物はその名の通り膨大な細胞が「社会」を構成してそれらが相互作用することによって成り立っているが、その基本は細胞同士の連結である。
細胞は直接に細胞間結合をして集合したり、自らが分泌した細胞外物質によってくっ付き合う。この細胞同士の結合の機構によって形や強度など体の作りが変わる。また、他の細胞や細胞外マトリックスとの連結で細胞内部の構造体の向きが決まり、それによって体内での細胞の動き方が決まり、成長・発達・修復のありようが定まる。
この章では、最初に動物の細胞と組織に焦点を当て、
まず細胞と細胞をつなぐ細胞間結合、閉塞結合、チャネル形成結合について、
[1. カドヘリンと細胞間接着]
[2. 密着結合と上皮の構造]
の2節でまとめられており、接着の機構と構築という観点から神経シナプスについて
[3. 細胞から細胞への通路:ギャップ結合と原形質連絡]
という節にまとめられている。
多種類の結合が協同して極性を持った上皮層を作る仕組みは
[4. 基底膜]
で見ていき、その後動物の細胞外マトリックスそのものや、細胞ーマトリックス間接着での細胞同士の相互作用を
[5. インテグリンと細胞ーマトリックス間接着]
[6. 動物の結合組織の細胞外マトリックス]
の2節でまとめられていた。
最後に植物体を作るのに中心的な役割を果たす細胞壁について
[7. 植物の細胞壁]
の節にまとめて締めくくられている。

議題:
生物では再現できない材質について

■生物が起源ではない物質
・ガラス
・鉱物や純物質の単体結晶
・プラスチックや発泡スチロール → 大元を辿れば石油であり、生物由来?

■生物にはない物性
・透明で固いもの(ガラスなど)
・導電性や磁性の高いもの
・耐熱性の高いもの
・腐らない(生物によって分解されない)もの
基本的に生物はタンパク質によってできている部分が大きいため、導電性や高温への耐性を実現する物質を生み出すのは難しいのかもしれない。
腐るということに関しては、例えば木が腐るという過程で難分解性のセルロースが残ったりするということはあるが、基本的に生物が生み出したものを生物が分解できないということはないのであろうと考えられる。むしろ「腐る」ことによって、生命の間で物質が循環できているのかもしれない。

考察:
上で出てきたような生物にない物性を将来的に生物に実現するメリットはあるのだろうかという疑問が湧いたが、メリットも必要もないであろうという意見が大多数だった。たしかに約40億年の生命の歴史の中で獲得されることのなかった物性というのは今後もこの地球で生きていく上では必要ないと考えられる。
ただ、漫画ではないが、体が伸び縮みしたり、透明人間になったりする技術という観点でもう少し考えてみれば議題だったかもしれない。


2016年11月15日火曜日

[火曜討論会2016] Nature Podcast(2015/11/19) A question of taste

Nature Podcast(2015/11/19) A question of taste
元論文(http://www.nature.com/nature/journal/v527/n7579/full/nature15763.html)
担当 :加賀谷
参加者:7名

概要

味覚には一般に、甘み・塩味・うま味・酸味・苦味があることが知られている。このうち、甘みは主にエネルギーがあることを示し様々な動物が好む一方で、苦味は毒物等の忌避すべき成分の存在を示唆するもので、基本的に好まれない傾向にあることが知られている。
今回の論文では、マウスを用いてこの味覚を処理する脳の部分に光感受性を与え、それを用いて甘みや苦味を感じる味覚と脳の機能・行動の関係を調べた。

議題 苦味をおいしさと感じる意味

一般に、苦い=毒



苦いもの
・コーヒー、ビール
  ・苦味以外のものを感じている?
・ゴーヤ、ピーマン、カカオ
  ・苦くないように調理している?
・漢方、青汁

苦い物質
・アルデヒド・ケトン
  ・生物との反応性が強い
・アルカロイド(カフェイン、カテキン、ニコチン)
  ・中毒性がある(中毒になっただけ?)

ヒトの成長段階と苦味
・コーヒーいつから飲めたか
  ・中学生くらい?〜30になってから
・ピーマンいつから食べれるか
  ・中学生くらい?〜今もダメ

・中学生くらい = 第二次性徴との関係?

慣れ?
・体の小さい時は多少の毒物も大きく効くので、苦味にセンシティブな可能性。
・逆に大人は、そんなに影響ないので鈍感
・味覚受容体の経年変化?

他の味?
・甘み、うまみ、塩味
  ・生きるのに必要だからおいしいと感じる
・苦味
  ・毒の可能性、危険と思う
・酸味
  ・腐っている可能性、嫌いな人もいる。

その他
・妊娠すると味覚が変わる?(酸味を好む)
・グルコースとフルクトースの甘み
  ・すぐにエネルギーとして利用できるグルコースより甘く感じる
・苦くないコーヒーってうまいのか?
  ・苦味こそがおいしさなのか?

まとめ

マウスを用いた実験では、苦味を確実に拒絶していたが、人間は嗜好品として苦味のあるものを摂取していて、その理由について少し考えてみた。例えばコーヒーを飲める人と飲めない人がいるように、味覚は人それぞれ微妙に異なっており、また進化として苦味を受け入れるようになった必要性についてもあまり詳しくはわからなかった。

細胞の分子生物学 第18章 アポトーシス

担当 : 笹澤
参加者 : 7名

<概要>

細胞は損傷を受けたり、不要になった場合などにプログラム細胞死と呼ばれる仕組みで自殺することができる。アポトーシスはこのプログラム細胞死の一種で大多数の細胞死はアポトーシスによって引き起こされる。アポトーシスで死ぬ細胞は縮んで収縮し、断片化して内容物が漏れ出る前に隣り合う細胞やマクロファージに食べられる。アポトーシスはタンパク分解酵素のカスパーゼによって行われる。細胞がカスパーゼを合成する経路に外部経路と内部経路の二つがある。これらの経路はそれぞれ専用のタンパクやその他細胞外シグナルによって厳重に制御されている。

<議題>

機械やプログラムにアポトーシスを導入できるか?

生物におけるアポトーシスのメリット
・危険な(害を与える)細胞の排除→再生
・成長過程での不要な細胞の排除

機械でアポトーシスを導入できそうな例
・ニューラルネットワーク
・電気回路のヒューズ
・ロケットの燃料タンク
→必要なくなったら破壊する
・ナノマシン
→機械をだんだん生物に置き換えいらなくなったら排除

<まとめ>

アポトーシスの機能のうちいらなくなったら排除するという機能はげよく取られている手法のような気もした。もう一つの機能は排除した後の再生が機械においては難点であるように感じた。


2016年11月2日水曜日

細胞の分子生物学 第17章 細胞周期 第1〜6節

担当:栗本
参加者:7名

<概要>
第1節:細胞周期にはDNAの倍加が行われるS期と有糸分裂・細胞質分裂が起こるM期、そしてそれぞれの間にG1期G2期という間期の4つの時期がある。
第2節:制御系はスイッチのオン・オフで機能し、スイッチが入れば事象は100%始まり、後戻りはできない。この制御系の中心成分はサイクリン依存キナーゼである。
第3節:DNA倍加は極めて正確に複製され、かつ、全ヌクレオチドの複製を1回に限定されなければならない。
第4節:有糸分裂は有糸分裂紡錘体が実行し、姉妹染色分体を引き離し、娘核に詰め込む。紡錘体形成は微小管を二極性に配列される能力と安定化させる能力に大きく依存している。
第5節:分割が終わると分裂溝の細胞膜がくびれて中央体を形成するが、微小管が発するシグナルで収縮環の位置が決まる。
第6節:器官や体の大きさはおおむね全細胞数と細胞の大きさによって決まり、動物は器官や組織の細胞の全容量を何らかの方法で測り、制御している。

<議題>
自らの意思で細胞の制御を行えるか?

自分の意思で制御したいこと
◯ 起きる時間
 →自己催眠、プラセボ効果、自律神経系を鍛える
◯ 太る・痩せる
 →自己催眠、プラセボ効果
 →脂肪合成をコントロールできれば
◯ ゆっくり消化する
 →まず脂肪にして、お腹が空いた時に脂肪から分解するようにしたい
  →体温を維持するため
  →筋肉から分解すると基礎代謝が下げられる(?)
  →脂肪は分解・輸送が大変そう(?)
◯ 髪・爪の伸びる速さ(髪の色を変える)
 →フィードバックがないため、適正長さがわからない
◯ 痛み・かゆみの感覚
 →脳の状態による(事故の時など痛い意味がないので感じない)
◯ 体温調節
 →筋肉を動かす
 →ミトコンドリアに穴を開ける(冬眠時に行っている方法)

制御にかかる時間も問題。
ホルモンを自分で制御できるとしても、制御に時間がかかりすぎる

<まとめ>
自ら制御するのは難しいと考えていたが、ホルモンレベルでは意外と制御?している事例があるように感じた。結論としては自己催眠の可能性に依存しているのではないか、ということになった。

2016年11月1日火曜日

[火曜討論会2016] Nature Podcast(2015/11/12) Making a beeline for honey

Nature Podcast(2015/11/12) Making a beeline for honey
元論文(http://www.nature.com/nature/journal/v527/n7577/full/nature15757.html)
担当 :平田
参加者:7名

概要

古くより人類はミツバチを利用してきたという証拠はあるが、いつどこで始まったかは分かっていなかった。
古い陶器のかけらに付着している蜜蝋を調べる事で、どの時代のどの地域の人がミツバチを利用していたかがわかる。蜜蝋は複数の脂肪群からなりその組成はミツバチのゲノムで決まっているため、高度に保存されており信頼度の高い情報と言える。
結果、新石器時代のヨーロッパ・近東・北アフリカの地域で、紀元前7000年前頃からミツバチの利用が恒常的に行われていたことが明らかとなった。

議題 現代において自給自足は可能か

自給自足の定義:地産地消と似た考え

生存に必要な要素
・水
・ミネラル( 塩+重金属)
・穀物

水が豊富にある場所ならば植物を育てる事ができ、自給自足可能?
→オアシス
寒い地域は植物の育成が難しいが、ロシアではビートを生産。北極では不可能?

自給自足は可能そうだが、現代の生活水準を下げたら人口は減るだろう
→場所や条件によりどのくらいの人数を養えるかが変化
人口を今の半分にしてもよいのであれば、古代文明は作れそう
東南・南アジアやアマゾン地域は温暖で自給率高い

結論 現代でも自給自足可能だが場所や許容人数が制限される

宇宙ステーションでの自給自足を考えると重金属が問題になりそう?

まとめ

人類は水・ミネラル・穀物があれば生存はできそう
それに加えて場所や条件によってどのくらいの人数が生活できるのかが変化する
自給自足の生活をするなら東南・南アジアがベスト?