【議題】女王バチになるかどうかを、なぜ遺伝子配列のみで決定しないのか?
【結論】女王バチになるかどうかは遺伝子配列「だけ」では決定しない。同じ配列でも、発現の仕方によって異なる性質・役割を持つ。このようなEpigeneticsは、進化的にも合理的で、社会性昆虫のような複雑な集団生活において、柔軟性と安定性をもたらしている。
東北大学大学院 情報科学研究科 生命情報システム科学分野 木下賢吾研究室のブログです。 研究室での出来事などについての記事を公開していく予定です。。
【議題】女王バチになるかどうかを、なぜ遺伝子配列のみで決定しないのか?
【結論】女王バチになるかどうかは遺伝子配列「だけ」では決定しない。同じ配列でも、発現の仕方によって異なる性質・役割を持つ。このようなEpigeneticsは、進化的にも合理的で、社会性昆虫のような複雑な集団生活において、柔軟性と安定性をもたらしている。
【議題】変異原や発がん性物質を生産する生物は、その物質からどのように自分自身のDNAを守るのか?またそのメカニズムを治療や予防に応用できるか。
【結論】アスペルギルスのような変異原を生産する生物の自己防衛メカニズムは完全には解明されていないものの、複数の仮説がある。変異原に対する防衛メカニズムを用いた治療や予防への応用を考える上では、酵素による無毒化やDNA修復機構の強化が有望である。
【議題】遺伝子発現が一方向であることの意味。または一方向でなかった場合の世界線について。
【結論】もし遺伝子発現が双方向であり、RNAからDNAへの逆転写が普遍的に存在したと仮定すると、有性生殖か無性生殖かによってその影響は大きく異なると考えられる。特にヒトの場合、両親から子孫へ安定した遺伝情報が正確に受け継がれにくくなり、種として安定的に子孫を繁栄させることが困難になったと考えられる。したがって、遺伝情報の正確な伝達と安定性を確保し子孫を繁栄させるため、一方向性の遺伝子発現が基本として確立されてきたと言えるだろう。
【議題】プラスミドを介した抗生物質耐性遺伝子の転移を防ぐにはどうしたらいいか。
【結論】ヒトにおいては抗生物質耐性遺伝子の転移を防ぐことは難しい。現実的にできることは、抗生物質やプラスミドの複製阻害剤などを使用して、抗生物質耐性遺伝子の広がりを防ぐこと。
【議題】L-アミノ酸の選択のようなホモキラリティは生物にとってどのような意味があるか
【結論】アミノ酸や糖質などミクロの視点では安定と効率の面でホモキラリティが重要である。臓器などの偏りについてはミクロな偏りが要因の一つかもしれないが、一般化はできない。