2015年1月27日火曜日

[MBC2014] 25-4,5 T細胞とMHCタンパク、ヘルパーT細胞とリンパ球の活性化

担当:安澤
参加者 :7名

節の概要

25-4:T細胞とMHCタンパクについて
25-5:ヘルパーT細胞を中心とした免疫系活性化やエフェクター細胞の分化などについて

議論点

 

体外で調整したT細胞による治療の可能性について


一般的なT細胞活性化プロセス
  1.  抗体補足による樹状細胞の活性化
  2. 活性化した樹状細胞によるT細胞への非自己ペプチド断片(抗原)の提示
  • 既にペプチドワクチン療法というものがある
    • ペプチド抗原を投与して樹状細胞を活性化する(1.)
    • 人工的に活性化したT細胞を作成できれば何かメリットはないだろうか?
人工的なT細胞の作成
  • 利点
    • 免疫系の老化に対応できるかもしれない
    • T細胞(免疫)不全の病気治療
      • 拒絶反応が起きないようMHCタンパクを個人ごとに合わせる必要あり
  • 問題点
    • 樹状細胞の活性化や作成で十分なのではないか
    • 傷害性(キラー)T細胞の寿命はあまり長くないのではないか
         →樹状細胞・ヘルパーT細胞も導入する
         →老化を考慮する
がん細胞をターゲットにした場合について
  • 何を抗原とするかが問題
    • 正常な細胞の変異であるため特異性が高くない
  • 人工的に作成した抗体を投与する治療が研究中
T細胞の老化とはそもそも何であろうか?
  • 年代別・健康状態ごとにゲノムやトランスクリプトームを読み特徴を見つけるのが手っ取り早そう 

まとめ:
現状では技術的課題や優位性が薄いですが、アプローチとしては十分有り得ると考えられます。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/07/31) Replaying evolution

担当:朴

参加者:8名

概要:
マウスで歯の発達を制御Ectodysplasin A(EDA)と呼ばれる遺伝子をいじることで歯の異なる構造をリメイクし、形態的形質の進化的変遷を実験で再現することが可能であることを示した。

議論:
歯の他に進化を巻き戻せそうなもの

−昔はどんな形だったのか
 −化石に残ったもの
  −骨格、爪など

−しっぽは可能か
 −霊長目から類人猿、尻尾は確かに短くなってきた
 −決定的遺伝子発現量による

−種の寿命に関しては
 −寿命が長いと変異が少ない
  −マウスは変遷が見られるが、他の種は?

ゲノムが分かれば、再現できるのか
 −ネアンデルタール人
  −再現が難しい、倫理問題
 −マンモス
  −可能そうに考えられるが、全合成にはまだ十年以上必要?

−再現が面白そうなもの
 爪、あご、眼窩、象牙など

まとめ:
歯の他にも進化を巻き戻せそうなものについての議題で、今の段階では技術的難しいと思われます。

2015年1月20日火曜日

[MBC2014] 25章1,2,3節 リンパ球と適応免疫、B細胞と抗体、抗体の多様性(B4 池野)

担当:池野
参加者:7名

概説:
25章では、主に免疫系に関して述べられている。抗原が体内に侵入してから免疫が働くまでの一連の流れが説明されている。

議論点:
適応免疫系を安全に強化するにはどうしたらいいか

○免疫系を強化する方針
1.抗原への攻撃力を上げる
2.抗原の検出力を上げる
3.抗原の発見から免疫ができるまでの応答速度を上げる

○流行のウイルスに対する対策
そのウイルスに対するB細胞を作成し、個人個人のゲノムに合わせてカスタマイズして組み込む

○1つの抗体でより広範囲をカバーできないのだろうか
・自然免疫は広く反応するが抗原への攻撃力は弱い
 ⇒自然免疫の攻撃力を上げることで免疫系の強化につながるのでは
 ・自然免疫は弱いから成り立っている可能性(強すぎると自己抗原も殺してしまう?)

○抗原の発見力に関して
・発見力を強化したとても、FPを減らさなければ自己抗原も死んでしまう

○胸腺の強化
・強化は難しそう
・胸腺は10代でもっとも多く、年をとるにつれ脂肪組織に置き換わる
 ⇒胸腺を「維持」することが結果的に強化につながる
 ・ニワトリは胸腺が小さくならない
  ⇒胸腺維持に関する情報を得られる可能性
  ・ゲノムを調べて関係する遺伝子やパスウェイを同定できるかもしれない

○免疫系のコントロール
強化ではなく弱化させることができれば、アレルギーの治療も可能かもしれない
応答系の一部を鈍くすることで可能か?ただし、ピンポイントで弱くしなければさまざまな病気に対しての免疫も無くなってしまう恐れがある

まとめ:
免疫系の発見力に関した議論が主であった。胸腺の強化に糸口がありそうだが、強化は難しそうなので維持することを考えたほうがより現実的である。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/07/24) A fate sealed?

担当:小澤
参加者:8名

概要:
気候変化がオットセイ集団のヘテロ接合度に影響を与えていることを実証

議論:
遺伝子プールを利用した将来の生物群集予測

・背景
従来の生態学では,生物と環境に与える相互作用から生物群集を予測
そこに遺伝子情報を加えることで何ができるか

・今回のトピックより
オットセイの場合,一世代が長いことで予測が困難であった
一世代が短いと,集団の入れ替わりが素早くなり環境変化に素早く対応できそう

提案
 変異による環境適応度の変化・集団サイズにより,変異の定着をシミュレートする
 個体数の変化をモデル化(死亡率,交尾率, etc. + 遺伝情報)
  どちらも遺伝情報による環境適応の定量化が課題

 大量に対象生物種のデータを集め,GWASを行う
  やはりデータの必要数が膨大なのがネック

遺伝子を組み込む場合,環境適応に関連する表現型と遺伝子型の結び付けが課題といえる

2015年1月19日月曜日

[MBC2014] Nature Podcast(2014/07/17) Wasting away

担当:寺嶋
参加者:9名

概要:
悪質液の原因物質の1つである腫瘍由来副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)を抗体で阻害すると、褐色脂肪細胞の活性化が抑えられ、体重減少を防ぐ事ができる。

議論:
病気によって病気を相殺することはできるか

- 体重減少への応用
 - 今回の研究は褐色脂肪細胞の活性化によって体重を減少させる
  - (ヒトでは)失敗
  → 疾患の原因次第ではできるかも?
 - 細胞内外のエネルギー障壁をなくす方法
  - コントロールが難しい

- 近視⇔遠視
 - 完全に近視を直すと遠視が強く出てしまう

- 肥満⇔痩せ過ぎ
 - 痩せ過ぎになる仕組みを導入しても肥満は解消しない
 - 表現系同士で相殺するのは難しい
  → 現象レベルでの仕組みが理解できていれば可能かも

- 一時的に病状を緩和する
 - ウイルス同士で殺し合い
 - 複数が感染できない病気を使う
 - ターゲットが同じで競合する
  → コントロールが難しい

- 腸内細菌を整える
 - 乳酸菌は安全?
  - ミドリムシは?
   → 今のところ経験的には安全
 → バランスの調整が重要


まとめ:
podcastでも触れられていた病気により病気を相殺するという議題でした。コントロールが難しい案が多く出ましたが、今後現象の理解が進めば、また違った可能性があり得ることが分かりました。

2015年1月6日火曜日

[MBC2014] 24 病原体, 感染, 自然免疫

担当:小舘
参加者:8名

節の概要:
感染症の原因である病原体とその仕組み、対抗策のひとつである自然免疫について述べられている。

議論点:
ウイルスの環境への対応力を逆に利用する方法について

ウイルス:進化速度速い
・追従性
・mutation rate
→薬へ応用?


★ウイルス療法
・がん、脳腫瘍(膠芽腫)→既に試されている。
 がんの種類に対してウイルスの進化速度を利用できないか?
 免疫系みたいなことをさせる 元の免疫系とタッグできると良し?
・ホストへの特異性が大事
・通常細胞にも感染してしまうのでは?
 →免疫系に見つかりやすくする手法(見つかりにくくする機能を阻害)
  免疫系とのバランスが大事だろう。
  役目を終えたら自決してくれれば良いのだが。


その他の話題:
・ドラッグデリバリー 任意のターゲットへ感染
・ファージ療法もある(抗生物質の代わり)
・ウイルスを常在菌みたいにする? 定期服薬
・実験室でmutation rateを上げる
 →環境中へ 危険な因子を速やかに排除 ←危ないのでは?
・別のウイルスをやっつける
・ウイルスをデザインしてしまう


●まとめ
主にウイルス療法の話題が盛り上がった。現在既に治験として試されていることもあるが、今後の課題はもともとある免疫系との兼ね合いだろう。