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2013年10月8日火曜日

HMGセミナー 第18章:個人を対象とした遺伝学的検査(前半)


担当:寺嶋
参加者:8名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<18.1節>試料として選べるものの候補
<18.2節>遺伝学的検査の方法
<18.3節>既知の塩基配列変化の探索

議論点:
「エピゲノム(ゲノムのメチル化の状態)を個人レベルで検査するのは一般に普及するだろうか」

メチル化の状態が原因となる疾患も存在する
 -教科書の方法は少量しかできなさそうだが、大量に解析する方法は無いのだろうか
  -パックバイオ
   -1分子シークエンサー
   -精度が悪いので何回も読む必要がある
    -短くても良いから正確に読めるシークエンサーの登場が期待される
  -メチル化のアレイ
  -イルミナのDNAメチル化解析
  -測定時間の長さで修飾状態を見る
   -2回読む必要がある
   -修飾状態の種類が増えると大変そう
  -バイサルファイト法
   -メチル化された部分だけ塩基を変える方法
  -水素濃度により塩基を判定する方法を発展させるというのはどうか

一般の人に受け入れられやすい要素とは
 -相(両親のどちらから機能する遺伝子を受け継いだか)が分かる
  -2セットのうちどちらを使っているのかが分かるようになる
 -メチル化情報を変える(スイッチのオンオフのように)
  -トランスクリプトームの代用
  -実用例:ダイエット等
 -全て調べようと思うと体中の細胞が必要
  -1回の検索では厳しい
   -血液で精度を高めればいいのでは
    -メタボロームの方が有力そう
    -細菌とかの場合は分かるほどいる状況だと手遅れ
    -ガンとかなら分かるかも

5年後、10年後には…
 -解析の価格が下がっている可能性もある
 -RNAとDNAを組み合わせた検査方法とか非侵襲性の技術との組み合わせ

その他の議論点:
<遺伝学的検査の検査方法>
・RNAとDNAを組み合わせた検査方法はできないか
・1つの手法で複数の状況へ対応できないだろうか
<遺伝子診断>
・DNA検査が簡便にできるようになった場合、どのような問題が起こりうるだろうか
・現在の遺伝子診断はどの程度の信頼性なのか
<既知の塩基配列変化>
・表18.5に示される配列多様体が少ない疾患は変異の種類以外に共通点はないのだろうか
・ゲノムの変異の影響をどのようにして見積もるのか

まとめ:
メチル化の大量解析技術に始まり、価格さえ安くなれば10年後には他の技術と共に一般的に検査が存在していそうである、という結論に至りました。

2013年9月10日火曜日

HMGセミナー 第14章:メンデル遺伝形質の遺伝的マッピング(前半)


担当:寺嶋
参加者:9名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<14.1節>組換えの種類と遺伝距離や遺伝地図との関係
<14.2節>遺伝的マーカーと連鎖解析について

議論点:
「組換え価に男女の差が出来るのは何故なのか」
「組換えの数が女性の方が多い生物学的意義とは」

なぜ男女差が生まれるのか
 -組換えにより男女差が生まれるメカニズム(仮説)
  -交差をサポートするタンパク質 or RNAが存在
   -量の問題か、分布の問題か
    -分布なら時期毎のタンパク質の分布を調べれば分かるかも
  -性染色体上の遺伝子が操作
   -X:男女ともにある
   -Y:男性しかない
    -Y染色体に交差をサポートするタンパク質またはRNAを阻害する要素
    -X染色体が2倍あるので交差をサポートするタンパク質も2倍
     →X染色体のほうがよりシンプル
      -不活性化は体細胞と分裂の段階では条件が違う可能性
      -ただし、交差をサポートするタンパク質が全てX染色体上にあるかは疑問

この差に何の意味があるのか
 -組換えの男女差の生物学的意義
  →偶然?
  -交差の利点とは
   -大まかにバリエーションを確保するため
    -微調整は点変異により行っている
   -バリエーションを作る方法の内ではがんになりにくい方
    -点変異タンパク質が変わるので有害
    -交差は交差が起こる相手による
   -交差が大変なら別の方法だったかもしれない
   -回数は生物によって違いそう
    -環境が激変するほど多くなる
  -精母細胞と卵母細胞はゲノム以外にも違いがあるのだろうか
   -外界からのシグナルにより組換えが起きるのかもしれない
  -男性の場合、端の方に変異が入るように見える
   -テロメア等ではないか
    -変異が入りにくい仕組みになっているのかもしれない
   -全体ではどうなっているのだろう
   -その方がバリエーションが増えるのかもしれない
  -染色体の位置に性差はあるのだろうか

「個人内でも個人間でも交差数にはばらつきが見られるが、交差数を決定する要因とは何か」という議論点とも関連が深そう

その他の議論点:

<遺伝的マーカー>
・遺伝的マーカーは血液型から始まり、現在SNPが主に使われているが、新たな手法としては何が考えられるか

<ホットスポット>
・ヒトのホットスポットはチンパンジーではホットスポットではないが、他の生物についてはどうか
・ホットスポットとなる配列はどのようなものなのか

<遺伝地図作製の方法>
・組換え価を用いた遺伝地図作製よりも良い方法は存在するのか

<用語の定義>
・cMという概念の必要性とは

<交差の数の違い>
・個人内でも個人間でも交差数にはばらつきが見られるが、交差数を決定する要因とは何か

まとめ:
遺伝的マッピングにおける組換えや遺伝的マーカーを用いた連鎖解析に関する節でした。議論点となった組換えの男女差については、多方面に話が広がっていき勉強になりました。

2013年7月16日火曜日

HMGセミナー 第12章:ポストゲノム時代の遺伝子機能の研究(前半)

担当:寺嶋
参加者:9名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<12.1節>現在の遺伝子機能の研究の概要
<12.2節>配列相同性検索、データベース検索、モチーフやドメインによる検索といったバイオインフォマティクスからのアプローチ

議論点:
「これからどの総合的な解析(オミクス)の研究が面白くなっていくのだろうか」


バイオインフォマティクス
 -オミクスのどの分野でも出来る

過去十年間はゲノムが主流だった
 →今の主流、他のに移行するのだろうか
 →ゲノムのイメージが変化している
-遺伝子は、昔はタンパク質をコードするものであったが、今はRNAも重要であることが分かっている
   →生存上重要性の低い部分が分かってきただけかも
    →ある生物を生物足らしめるという意味での重要性が判明しているのでは
     →シス配列による調節の違いが大きいのではないか

ヒトとチンパンジーはゲノムがあまり違わないので、ゲノムだけを見て個々の生物としての決定的な違いを見つけることは難しい

RNAやタンパク質よりも、元となるゲノムを見てゲノムの意味を考えるのはどうか

無脊椎動物ではトランスクリプトームが主流
 -ゲノムが大き過ぎて大変
  -純系を作るのが大変
   →ゲノムを1つに定めないと他の実験に使えない
    -サンプルを用意するだけでも大変
    →特定の遺伝子だけの大雑把な解析ならゲノムでも出来そう

トランスクリプトーム解析
 -発現量の解析
  -環境が重要になってくる
 -ゲノムの代用品

医学的応用ならタンパク質、進化の研究ならゲノムというように用途が分かれそう

ヒトのトランスクリプトーム解析はよく調べられている
 -プロテオームやメタボロームの段階に進めそう

メタボローム
 -結果を先に見る逆遺伝学的な手法が主流
 -食料は代謝産物が多いので重要かもしれない

アレルギー
 -リピドームとか
 -セルコミュニケーション等が重要そう

ゲノム至上主義
 -全ての生物のゲノムを全て読んだら終わるのだろうか
  -100年くらいあれば可能
   →ハードディスクが足りないかもしれない
    →差分を取ったり、技術の進化で何とかなるのではないか
    -圧縮
    -ツリー番号
     →検索が速い
     →進化という点から見ても重要
 -20年後くらいの未来
  -中国人全員のゲノムを読むとかありそう
   -オリンピック関連とか、国をあげて取り組みやすそうな要素があればあり得るかも
  -アメリカもゲノムを読むのが主流になりそう
  -個人の判別とかも出来るようになりそう

1000人プロジェクトは終了している
 -100万人プロジェクトも進行している
 -4かけくらいで読んでいる
  -傾向だけを掴むならそこまで詳細には読まなくてもよい
   →個人であればしっかりと読む必要がある

シークエンサーの未来
 -10年で世代はどの程度進むだろうか
  →2世代くらいは進むかもしれない
 -過去〜現在までで開発されている世代
  -次世代:電気泳動不要
  -第3世代:PCR不要
  -第4世代:合成不要
 -未来の世代に求められる要素
  -抽出しない
  -増幅しなくても読める
   -DNAを伸ばしながら読む
  -生体内で観察
   -ナノテクノロジーでできそう
    -合成されていく様子を観察できないだろうか

その他の議論点:

<遺伝子の機能の分類>
・遺伝子オントロジーは曖昧な部分がある分類であるが、どこまで有効なものなのか
・遺伝子の機能の分類は3種類で十分なのだろうか

<配列相同性検索>
・配列は似ているが構造は似ていないものの機能予測はできるのだろうか
・遺伝子相同性検索で分からない遺伝子の機能はあるのか

<総合的な解析(オミクス)>
・各種の総合的な解析(オミクス)の研究結果はどの程度重ね合わせられるものだろうか
・プロテオームやトランスクリプトームでは、どこまでの部分が共通なのか

<遺伝子の定義>
・シス配列のように配列そのものが機能する場合には遺伝子とは呼ばないのはなぜか

まとめ:
今回の章では遺伝子の機能について扱い、前半は遺伝子機能の研究の概要とバイオインフォマティクスのアプローチについてでした。議論では、おそらくこれからもゲノムが主流であり続けるだろうという結論に至りました。

2013年6月26日水曜日

HMGセミナー 第10章: モデル生物、比較ゲノム学、進化 (1)

担当:寺嶋
参加者:14名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<10.1節>単細胞生物からヒトまでの様々なモデル生物について
<10.2節>コード配列の純化選択による保存や正の選択による進化と、比較ゲノム解析の仕組みやブラウザ、利用方法

議論点:
「非コードRNA(ncRNA)は生存するためにはどの程度必要なのか」


タンパク質の領域は少ない
 -ゲノムの殆どはガラクタ?
  →ゲノムは広範囲に転写されており必要なncRNAもある
   -全部必要なものかもしれない?
   -無闇に転写される?
    -何かあったときのため

ncRNAはどのように機能するか
 -調節が多い
 -転写は急速にできる

「生存できる」の定義
 -最低限必要なRNA
 -何らかの働きがあるRNAということではない
 -使用の有無を問わず、勝手に転写されるRNAは含まない

染色体の数%が無くても生存は可能
 -まだまだRNAの数は削る事が出来る?

恒温動物⇔変温動物
 -恒温動物の方がエネルギー消費は大きい

未知の環境に適応する事を考える
 -環境の厳しさをレベルで表す
  -例:レベル2で必要なRNA△△

余計なコピーも害がなければ問題が無い
 -ゲノム的には無駄
 -飢餓状態なら影響があるかも?
  →むしろ飢餓状態の対応を忘れた方が長生きできる
   -例:食料が豊富な実験室のマウス
   -環境に適応できない事は悪いことではない

短期と長期の適応
 -短期に対する過学習はよくない

その他の議論点:
<人工合成学>
・人工のモデル生物はどの程度実際のモデル生物に似ているのか
・人工生命体は作れるのか
・合成生物学の特徴とは何か

<モデル生物としてのヒト>
・ヒトをモデル生物とする研究は今後どのようになるのか
・2020年までに個人のゲノム配列決定は日常的になるのか

<ヒト以外のモデル生物の解析>
・酵母で人類が知るに値する事柄とは何か
・人以外のゲノムも簡単に読める時代が来るのか
・人間の脳に近い脳を持つマウスを作ることは可能だろうか

<正の選択>
・正の選択が起こる理由とは何か

<比較ゲノム解析>
・比較ゲノム学で現在残されている問題とは何か
・保存される非コード配列で偽陽性と判断されるものを減らす方法はあるのか

<非コード配列の探索>
・SNP頻度からヒトの遺伝子調節配列を見つけられないか?

まとめ:
今回はモデル生物とゲノムの進化と保存、比較ゲノム解析についての節で話題が多かったので、色々な内容の議論点が集まりました。議題となった生存に必要な非コードRNAについては、様々な条件を中心に環境への適応へと議論が発展していきました。

2013年6月25日火曜日

HMGセミナー 第10章: モデル生物、比較ゲノム学、進化 (2)

担当: 田高
参加者: 14名
教科書: ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<8.3節> 哺乳類(脊椎動物)のゲノム進化

議論点:
教科書中では性決定要因として環境的要因・遺伝的要因の2つが挙げられていたが、それぞれの特徴にはどのようなものがあるか。

・高等生物: 遺伝的要因、下等生物: 環境的要因の様なイメージ

・種による性決定要因の一例
 ・は虫類: 温度 (←ほ乳類には無理では?)
 ・魚類: 群れの中での相対的大きさなどいろいろ
 ・ミジンコ・アブラムシ: 饑餓など環境の悪化の直前に雄をつくる(生み分け)
  →補食される側は環境的要因?

・下等生物だと雄・雌の違いがあまり無いから状況により変化するのでは?
 ・ほ乳類では性転換が起こるとするなら乳腺を作るetc等は無理?
 ・定性的には?

・性転換にかかる時間はどうか?
 ・セブラフィッシュでは半年くらい

・高等・下等というより集団の大きさ・個体の安定性が効くのでは?

・進化的な制約は無いのか? (倍数性etc.)

・雄へテロ・雌ヘテロではどちらが有利か?

その他の議論点:
<全ゲノム重複・ゲノム再編成>
・全ゲノム重複のあいだ、生物はどうやって生きていたか
・全ゲノム重複と表現型の変化について
・全ゲノム重複においてどんな遺伝子が消滅を免れるのか。それはなぜか
・植物では全ゲノム重複が盛んに起きているがそれはなぜか
・哺乳類のなかで多倍体は存在しないのか
・哺乳類などでゲノム再編成が起こるきっかけにはどのようなものがあるか

<染色体>
・「Y染色体の遺伝子欠失に呼応してX染色体の不活性化が促進された」とあるがそれはなぜか
・表現型とゲノムの違いが生物分類に与える影響について
・インドキョンはなぜ染色体融合が起きたのか
・染色体が消えることによる種の絶滅の可能性について(中国種のインドキョン)
・PAR1領域は雄性減数分裂時に必ず交差が起こる部位であるが、その必然性について

<性決定機構>
・メダカ等同じ種類の生物の中でも異なる性決定機構をもつような生物がいるがそのメリットについて

2013年6月10日月曜日

HMGセミナー 第8章:遺伝子とゲノムの構造および発現を解析する(1)

担当:寺嶋友美
参加者:16名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:

<8.1節> DNAライブラリーやcDNAライブラリーの作製法、スクリーニング法、増幅の際の問題点について
<8.2節>酵素法から第三世代シークエンサーに至るまでの DNA塩基配列決定の様々な方法とDNAキャプチャーによる再配列決定について

語句:
かけ…ゲノムを読む回数。
SD…ある集団(ここではPCRにより増幅されたゲノム)の濃淡の分布。対数正規分布の標準偏差。

議論点:
「DNAのシークエンシングのエラーを検出する方法について」

・シークエンサーの問題点
 ー正確な部分と怪しい部分がある
  ー原因:体細胞変異、シークエンシングの時の誤り

・2つのシークエンサーで結果が違う場合
 ーメーカーによって正確性は違う
 ー何らかの方法で正確性を比べたい
  ー信頼度はある?
   ー蛍光を使う方法なら各塩基を検出した時の光の強度
   ーQスコア
    ー間違える確率
    ーQスコアの信頼度は手法毎に違う?
     ー初代と次世代だと初代の方がQスコアの信頼度は高い
    ー足切りに使う

・パックバイオ
 ー1分子毎、大量に配列を読む、エラーが多い
 ー20%くらい間違う
 ーSMRTと同じ技術を使用

・SNPの場合
 ー30かけくらいでも正確
 ーSDが大きいと正確な部分と怪しい部分のばらつきが大きくなる
  ーSDを小さくできる?
   ー技術的には可能性がある

・PCRによる問題
 ー次世代シークエンサー
  ーブリッジRCR
   ー基盤上で増幅して画像から読む
 ー第三世代のシークエンサー
  ーPCRをしないPCRフリー
   ーPCRによる問題がなくなる
 →1分子の大量並列DNA塩基配列決定法が出てくればいい
  ー1分子はエラーが多い
   ー今のところ何度も読むか、他のシークエンサーで補うしかない
 →PCRで複製がうまくいかなかった部分だけをもう一度PCRで増幅するプログラムがあればいい

その他の議論点:
<DNAライブラリー>
・大きなDNAを複製する場合には、PCRよりも細胞の方が優れているが、それはなぜか
・DNAライブラリーを増幅する際に起きうる、オリジナルな構成の破壊への対策について
・分与されたDNAライブラリーは同じ物だろうか
・DNAライブラリーに寿命はあるのか

<塩基配列決定法>
・蛍光による塩基配列決定法はどの程度正確なのか
・初代のシークエンサーの方法(酵素法)では大量に配列を決定する事は出来ないのか
・ジデオキシ法では、伸長を確率により制御するため配列の偏りがありそうだが、それをどう解決しているのか
・大量並列DNA塩基配列決定において、リード長と総配列情報量ではどちらがより重要なのだろうか
・1分子による大量並列DNA塩基配列決定において、反復配列等を読む事で異常なデータがとれるといった不具合は生じないのか
・シークエンシングはどこまで省略可能なのだろうか

<シークエンサー>
・SMRTとナノポアではどちらが主流となるだろうか

・現在研究されている他のシークエンサーについて

・表8.1でまだ出来ていないシークエンサー(Pacific Biosciences)が普及したらどうなるのか
・メイド・イン・ジャパンの世界一のシークエンサーは作れないのか

まとめ:
塩基配列決定法、その中でもシークエンサーに関する議論点が多く出ました。今までのシークエンサーの問題点をはっきりとさせた事で、第三世代での正確性を実現するための具体的な案が集まったように思います。

2013年5月14日火曜日

HMGセミナー 第5章:発生の仕組み(前半)


担当:寺嶋友美
参加者:13名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<5.1節>発生についての概略とモデル生物について述べられている
<5.2節>発生過程での細胞の存在部位や細胞系譜による分化について述べられている
<5.3節>発生におけるパターン形成について、体軸やモルフォゲン(濃度により異なる作用を示すシグナル分子)、ホメオスティック遺伝子(個々の細胞の位置によりどのように振る舞うか決定する遺伝子)等が述べられている
<5.4節>発生における形態形成の過程について述べられている

議論点:
「アポトーシスで不要な細胞を取り除くのではなく、必要な細胞だけ作ることはできないのか」

ー作ってから削るのはエネルギーの無駄
 ー手の場合:最初から手を作るよりはヒレの方が簡単そう
  ーヒレは進化で無くなったりはしないのだろうか
 ー必要な部分と不必要な部分を作ってから分ける方がやりやすそう
 ーアポトーシスではなく細胞が動くのではどうか
  ー例:神経の細胞とか
  ー一般的には難しい
ー口は2つの唇を作ってからつなぐ
 ー複雑な物ほど後から削るタイプになる?
ー手のひらから指を生やすよりヒレに切り込みを入れる方が楽
 ーそのような進化の例:魚のヒレ、虫の体節
 ー指を生やす事はできない?
  ー多指症は?
   ー切り込みがいっぱいあるせい
 ーバランスが取りやすい
ー体の外だと濃度勾配で制御できない
  ーヒレに切り込みならモルフォゲンで制御できるが、生やす方向だと別の要因で決める必要がある
ーニワトリの羽と足はどっちでもよさそうな仕組みになってる

「進化の過程で体軸を決めるシステムはどのようにして変化しているのか」

ーどの時点で左右ができたのか
 ー体軸は2つで十分、最悪1つでもいい
  ー大腸菌は鞭毛の多い少ないがあるから2つ
  ーアメーバなんかは1つ?
 ー3軸がどのようにして出来たか
  ー重力と自転
   ー完全に左右対称だとバランスがとれない
   ーニワトリは卵を暖めるときに回転させてるから重力だけで決定しているわけではない
  ー虫は生みっぱなし
   ー卵が丸じゃないのもいる
  ー物理的な物だから軸が完全になくなる事はない

その他の議論点:
<モデル生物>
・線虫のことがこんなに分かっているのはなぜなのか

<細胞の分化>
・存在部位ではなく細胞系譜により分化が決まる仕組みが少ないのはなぜか
・存在部位で決まる場合、位置の情報以外の情報はいらないのか
・全能性を持つ細胞は分化する時にシグナルを受け取る受容体を持っているのか

<左右の非相称性>
・左右はなぜ非総称なのか
・図5.4において正常な配置の人が多い理由
・左右非相称で増えても問題がない臓器とそうでない臓器の違い
・転写因子が活性化する際の左右の偏りはなぜ生じる?

<ホメオスティック遺伝子>
・ホメオスティック遺伝子の発現パターンの重複はどの程度許されているのか

<形態形成>
・単細胞生物のような簡単なケースで形態形成が起こる事はあるのか

まとめ:
発生の過程である細胞の分化、パターン形成、形態形成についての話題が多く集まりました。この節を通して、発生の各過程についての知識が深まったと思います。

2013年5月7日火曜日

HMGセミナー 第4章:細胞と細胞間情報伝達(後半)


担当:齊藤
参加者12人
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<4.4節>細胞増殖,細胞老化,プログラム細胞死
<4.5節>幹細胞と分化
<4.6節>免疫系細胞:多様性を介した機能

議論点:
アナフィラキシーショックを防ぐ方法はないか?
ー自分を防御するための機構で死ぬのはなぜか?
 ー特殊なIgEが反応する
ー抗原に触れないのが一番
ー花粉症のように減感作ができないか
ー死に至る抗原の特徴はないか?
ー二度かかると死ぬ病気も存在する
ー全身性の反応であることが普通のアレルギー反応との違い
 ー血流にのって全身にわたる

ーアレルギー反応はなぜおこるのか
 ーイネ科や杉はアレルギーを起こしやすい?
 ー短期間に多量にとるとおきる?
  ースギ花粉に曝露し続けると未来には花粉症がなくなる?
 ー衛生状況がよすぎる
 ー免疫系の感度が高すぎる
  ー個体が死んで種の存続に有利になることがあるのでは
   ー生物が小さい頃は生存に有利に働いていたのでは


その他の議論点
ー免疫系細胞が遺伝子へのコードではなく、組み換え等で多様性をうむ理由
ープログラム細胞死に人が手を加えることはできないのか
ーB細胞受容体とTCRにはほぼ無限の多様性があるが、それでも病気になるのはなぜか
ー単細胞生物がアポトーシスをおこすメリットはあるか
ー線虫の細胞は何もなければ死んでしまい、互いにシグナル交換をすることで生き残るが、シグナルを受け取ることによって細胞死が起きる機構でないのはなぜか?
ーヒトでは毎秒10万個の細胞死が起きているが、他の生物と比較してどうなのか
ー脳を再生医療で作ることは可能か
ー獲得免疫系は遭遇した非自己分子を記憶するが、なぜヒトは一生のうちに同じ病気にかかるのか
ーアポトーシスを行なううえでの制御はどうなっているのか
ー免疫細胞が所見の物質に対処できるのはなぜか
ー発生初期の細胞は自分の状態をどのように把握するのか

まとめ
免疫系の話から、アレルギーに関する議論が多くされました。
自分を守るための機構で死んでしまうというのは、とても不思議に思います。

HMGセミナー 第4章:細胞と細胞間情報伝達(前半)

担当:南谷
参加者12人
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<4.1節>細胞の構造と多様性について
<4.2節>細胞接着と組織形成について
<4.3節>細胞のシグナル伝達の原理について

議論点:
>C値と生物の複雑さは関係がないとすると、生物の複雑さはどのように定義するのか?
>ゲノムの大きさは何を意味するのか?
ー どうしても生物の複雑さをヒトは形の大きさで判断してしまう。
ー アメーバ >> 人間なのは例外なのではないか?
ー C値が多くても意味のある遺伝子が多いわけではない。複製されたものが多数ある場合  もある
ー 一般的に、細胞・組織・臓器の種類で決まるのではないか。
ー 飛行機と冷蔵庫で考えた場合、みな飛行機の方が複雑だと思っている。そして実際部  品の数(C値)で言えば、飛行機の方が圧倒的におおい。
ー レゴブロックを例で考えると、限られた種類の部品(遺伝子)で大きいものを作れ   る。つまり構造はシンプルだが、使用する部品数(C値)はその場合多くなる。

その他の議論点
ー単細胞生物はなぜ核を持たないのか?
ーニューロンの大規模処理
ーニューロンの種類の影響
ー生活環のほとんどの期間は単細胞生物であるが多細胞生物になる時期もある。そのメリットは?
ー最初の細胞の直径の子孫は生きた状態で見つかるのか?
ー細胞が組織を形成するときに、それぞれの細胞はどうやって、位置を決めているのか?
ー細胞マトリックスの大きさ
ーミトコンドリアないでの合成されるタンパク質は何か?
ー細胞の種類が分かれるのは、遺伝的かそれともほかの細胞との兼ね合いによるものなのか?
ー細胞内に比べて細胞外マトリックスにはどのような難点があるのか?

まとめ
生物の複雑さの定義について、身近なものを例にしたりして議論しました。

2013年4月24日水曜日

HMGセミナー 第2章:染色体の構造と機能(前半)


担当:寺嶋友美
参加者:15名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
<2.1節>細胞の倍数性と細胞周期(主にM期)について述べられている
<2.2節>体細胞分裂と減数分裂について解説し、両者の違いが比較されている
<2.3節>染色体の構造と、染色体の複製に必要なセントロメア、複製起点、テロメアの3つの要素について述べられている

議論点:
植物や魚では3倍体以上でも生存できるのに、なぜ哺乳類はできないのか。
-鳥類は?
 -ニワトリは2倍体
-分裂するときに異常が起こらないのはなぜか?
 -奇数倍よりは偶数倍の方が減数分裂のときに問題は少ない
  -奇数倍は増えれない
   -園芸用の植物等で多いのは(減数分裂を行わない)球根でも増えることができるから?
   -例:種無しスイカ、全身トロのニジマス(♀)
-3倍体や4倍体の生物は全ての細胞が3倍体や4倍体なのか?
 -トマト等は全部同じ倍数性
 -4倍体は巨大化する
  -例:カエル等
-増えた分の染色体は細胞内で不活性化している?
 -ヘテロクロマチンが活性化しても、似たような状況になる?
  -遺伝子の発現量が変わるという意味では同じ?
   -全体的に増えるのと今まで発現しなかったものが発現するのではだいぶ違う?
   -発現量とその影響は非線形の関係なので、3倍体以上はそのストレスに耐える必要がある
-一部人間でも3倍体以上ができる
 -核が1つになる訳ではなく分かれてる
  -一つの核の中に染色体が何倍かあるよりは問題ない?
 -これは分裂できる?
  -多核体になった時点で分裂しなくなる

その他の議論点:
<細胞分裂>
・紡錘体の微小管がセントロメアに結合するときの制御について。
・分裂の際に何故核を壊してから染色体を複製し、娘細胞でまた再形成するのか。
・どのようにして全ての染色体が複製を終わった事を感知して、分裂を制御しているのか。

<性染色体>
・性染色体のXとYの長さが違う理由はなにか。
・性染色体の遺伝子は特別な機能を持っているのか。

<減数分裂>
・減数分裂の際に、何故卵子は非対称で精子は対称に分裂するのか。(減数分裂の際に卵子は1つの卵母細胞から1つできるのに対し、精子は1つの精母細胞から4つできる)
・減数分裂はなぜ一度増やしてから分裂するのか。

<遺伝>
・受け継ぎやすい配列があるかどうか。
・全ての遺伝子が両親のどちらか一方だけになることはあり得るのか。
・組換えはどのくらい起こっているものなのか。
・キアズマ(組換えが起こった位置)が無かったり少なかったりするとどうなるのか。

<染色体の構造>
・クロマチン構造をとらずに凝縮できるのか。
・ヘテロクロマチンが活性化された時の影響について。

まとめ:
ヒトと他の生物の倍数性の違いについて、他の生物との比較からヒトでも起こりうる事象まで様々な意見が出ていました。

2013年4月23日火曜日

HMGセミナー 第2章:染色体の構造と機能(後半)

担当:藤原脩
参加者:16名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<2.4節>ヒトの染色体に着目し、染色体の染色方法とそれを利用した解析について述べられている。
<2.5節>染色体の数的異常・構造異常とそれが身体におよぼす医学的な影響について述べられている。


議論点:
・ヒトについて、染色体数が2n(46本)の卵子から個体ができないのはなぜか
 - 染色体2nの卵子から分裂は可能だが奇形となる
 - 下等生物(アブラムシ,ミジンコ)はクローンをつくる(卵子からかはわからない)
  - クローンでは遺伝的多様性は期待できない
  - 通常は無性生殖だが、越冬時には有性生殖を行う
  ➡ ヒトにとっては有性生殖がとくに重要?
 - ゲノムインプリンティングがおよぼす影響が強い?
  ※ ゲノムインプリンティング = ゲノム刷り込み;遺伝的転写調節。父親と母親のどちらから受け継いだ遺伝子かという情報が記録されていること

・トランスジェンダーと性染色体に関係はあるか
 - 仮説として
  - 男性(XY染色体をもつヒト)の場合、Y染色体の不活化により女性だと性自認する?
  - 女性(XX染色体をもつヒト)の場合、X染色体がY染色体の役割を担うことで男性だと性自認する?
 - テストステロンに着目して
  ※ テストステロン = 男性ホルモンの一種。胎内で大量のテストステロンに曝された胎児が男性となるらしい(アンドロゲン・シャワー)
  - テストステロンを作れない場合
  ➡ Y染色体(テストステロンの調節系)の異常と常染色体(テストステロンの合成系)の異常の両方が考えられる
  - テストステロンを受容できない場合
  ➡ 性染色体だけでなく常染色体も受容するので、性染色体のみが関係しているとは断言できない


そのほかの議論点:
<染色体異常>
21番染色体のトリソミーだけが生存可能なのはなぜ(13, 18番染色体のトリソミーはある期間だけ生存可能で、ほかの染色体のトリソミーは生存不可能)
性染色体の増加では問題が起こらないのはなぜ(スーパー女性など。X染色体のモノソミーはターナー症候群を引き起こす)
13, 18, 21番染色体以外のトリソミーがある場合にはどれくらい成長できるのか
モザイク型(一部の細胞でのみ現れる)の染色体異常について、異常染色体が正常染色体へ変わることはないのか

<染色体全般>
染色体の種類によってセントロメアの位置が異なるのはなぜ
染色体の組み替えが必要なのはなぜ
サイズとセントロメアの位置による染色体の分類(P51, 表2.3)と含まれる遺伝子の機能に関係はあるか
染色体の修復に関するチェック機構はなぜないのか
染色体の修復のトリガーとなりうる要素は何か
染色体の逆位のメカニズム
1つの個体に複数の遺伝的系統を含むことが許されるのはなぜ
均衡型相互転座について、ヒトで種の分化は起こらないのか
ハイブリダイゼーションについて、プローブが長いとより選択的にDNAを検出できるというのは本当か


まとめ:
セミナー前半の内容も含めて、ヒトとそれ以外の生物との違いを、染色体を通して考えるきっかけになったかと思います。

2013年4月16日火曜日

HMGセミナー1章:核酸の構造と遺伝子発現 (後半)

担当:城田松之
参加者:18名




第1章の後半ではRNAのスプライシングを含む転写後の調節,タンパク質の翻訳・翻訳後修飾が取り上げられています.

議論した点



翻訳後修飾するぐらいならアミノ酸を増やしたらいいのではないのか?


生物はアミノ酸の種類を20種類に制限する一方で,翻訳後のアミノ酸を修飾することで要素の多様性を生み出しているように見える.この戦略にどのような利点があるのかを議論した.

進化上の制約

大昔に遺伝暗号が決まって,その後高等生物になるに従っていろいろな機能的要請に応えるために翻訳後修飾の機構ができたのでは.
翻訳後修飾は種によって違いがあるのか?
大腸菌では翻訳後修飾がないので,ヒトの遺伝子を導入して発現させても機能がなかったりする.

アミノ酸のバリエーションを豊かにするため

アミノ酸数×修飾で乗数的に種類が増える
コードするアミノ酸の種類を増やすだけでは加算的にしか増えない.

修飾アミノ酸がシグナルになっている(環境要因への応答の制御)

リン酸化が増殖などのシグナルを伝える
糖鎖は細胞外分泌蛋白質につけられる
ゴルジ体で修飾が起こる.
蛋白質の細胞内でのソーティング(決まった場所への輸送)に関与している
同じような機能は蛋白質のN末端のシグナル配列も持っている.
修飾するかどうかはどこに書かれているのか?



イントロンの認識部位は精度よく予測できるのか?


スプライシングサイトの認識配列は短いため,これだけで正しく決定できるかについて議論した.

疑問点

ゲノム配列上からスプライシング部位のコンセンサスとして知られている配列をピックアップした時にどのくらい真のスプライスサイトとして当るのだろうか.
擬陽性がたくさんできてくる可能性

推測


教科書に書かれているルールの他にも認識配列があるのではないか.
配列上の特徴から一意に決まるというよりも確率的に決まっているのではないか.
実際,臓器特異的なスプライシングバリアントがあるように,スプライシングの有無は変化する現象である.


その他の議論点



イントロンとRNAスプライシング


イントロンがなかったらどうなるか,役割は?
イントロンには変異が入ってよいのか?
イントロンとは何か?
スプライシングの2種類のコンセンサス配列の違いは何か?
長い遺伝子でほとんどイントロンでよいのか?スプライシングできるのだろうか?
スプライシングバリアントと立体構造の関係はあるのか?
翻訳後修飾でメチオニンがとれるものととれないものの違いは?
イントロンがあると複製時にエキソンにエラーが入る率を下げられるのか?


遺伝暗号について


ミトコンドリアの遺伝暗号が違うのはなぜか?
遺伝暗号はなぜ今のようなものにあったのか?
コドンへの環境要因をリボソームはどうやって判断しているのか


その他


蛋白質構造についてもっとよく知りたい

Cap構造が高エネルギー結合をしているのはなぜか?


まとめ

 真核生物ではRNAやタンパク質は転写・翻訳されたままの状態で使われるのではなく,様々な修飾を受けます.この点がセミナー参加者の興味を引きつけたようでした.特に,RNAスプライシングの機構にはたくさんの議論点が挙げられました.時間の都合上議論しきれなかったのが残念です.
一方,タンパク質の修飾については進化上の制約や機能の多様性の観点から利点がありそうだという方向にまとまりました.