2015年3月3日火曜日

[MBC2014] Nature Podcast (2014/10/02) Making your skin crawl

担当:佐藤(SS)
参加者:7名

概要:
ヒト皮膚の多様な形状は微小環境と微生物コミュニティの関係調査に最適である。関係分析法などにより微生物の部位・個体特性、特徴付けのないメタゲノムを発見した。この研究はヒト疾患研究の基礎となり微生物の特性の影響を明確にするものである。
元論文:http://www.nature.com/nature/journal/v514/n7520/abs/nature13786.html?lang=en
http://www.nature.com/nature/journal/v514/n7520/abs/514044a.html?lang=en

議題:「沢山の人のマイクロバイオーム情報が得られたら、どのようなことがわかるか」


      口内、皮膚(足, 鼻腔etc)、腸内 etc
              ↑
◯マイクロバイオータ:その環境にいる生命体
◯マイクロバイオーム:その環境にいる生命体のメタゲノム情報
                         ↓
             生物種の構成 ← 「生物種情報」 → 働き
                         ↓
                         代謝情報

その環境にいる生物種がわかる ≒ 化合物環境がわかる
外毒素のような化合物は人に悪影響を与える(ピロリ菌)

マイクロバイオータは環境要因に影響を受ける
マイクロバイオーム情報は測定し易い
    ⇒ マイクロバイオーム情報で数多ある環境要因を記述できそう


◇どんなことに使えそうか
 人の体質と、その人のマイクロバイオーム情報があれば相関関係を記述できる
   ⇒マイクロバイオームを変化させる要因がわかるかも
     (exどんな食べ物、衣類、etc)
 人種・性別の特定(オーラルバイオームを利用した研究がある)
 居住地の特定も可能かもしれない


cf. 腸内フローラ 便移植
「NHKスペシャル 」

腸内フローラ
解明!驚異の細菌パワー

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0222/index.html

2015年2月25日水曜日

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/25) Not so sweet

担当:朴
参加者:8人

論文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7519/full/nature13739.html

概要
島嶼生物地理学での種数–面積には正の関連が、種数–隔離度には負の関連があるという理論を検証した。また、地理的な面積や隔離度が決定要因となっていた過去と異なり、人新世では人間集団の経済的隔離が圧倒的な影響力を持つことが反映された。

議論
ヒトがいない世界はどうなっていたか、今とどんな違いがあるのか

人間が現在のように進化したTurning Pointは
-知能、言語、道具の使用、家畜化など
地球環境の必然性と偶然性を分けて、他の生物の場合でそれぞれのポイントを考えると
-知能
 サル、イルカなどの知能が発達したら、どうなったのか 
 知能の定量化はどうするのか -脳のボリューム、情報処理
-言語、つまり個体間のコミュニケーション能力
 個体間の協力によってもっと難しい作業も完成できる
ニッチが空いていれば、必ず何かの種がそこに入ってしまうようになる
-では、今のニッチを埋めているのは、なぜ人だけなのか ー好戦的
人間が埋めている地上以外のニッチを考えると
-空
 脳が大きくなると飛べない
-海
 流動性が強いので、スペースは広いが構成は複雑ではない。そして、資源が豊富で選択圧が強くない。

まとめ
ヒトの環境改変能力により、世界は変わりつつである。もしヒトがいなければ、他の種がこのニッチを埋めるはずである。

2015年2月24日火曜日

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/18) Not so sweet

担当:安澤
参加者:8人

概要

ノンカロリー人工甘味料と腸内微生物相の変化および代謝異常との関連が認められ、人工甘味料の大量使用には再評価が必要であろう。

議論

データから迅速な安全性評価をすることは可能か 

○今回の場合
 人工甘味料の摂取→腸内細菌の構成や機能の変化→グルコース不耐性の発現
  • 宿主(マウス・ヒト)と細菌両方の代謝パスウェイ情報が必要そう
○安全性の検証実験に時間がかかる理由
  • 蓄積しないと影響が出ない
    • 蓄積により影響が出るもの:塩基配列の変異・代謝されない物質
  • マウス(実験動物)とヒトの類似性の限界
    • マウスで安全でもヒトで安全とは限らない
    • 食品添加物の試験はどのように行われているのだろうか
→短期間蓄積したデータから長期間の予測はできるだろうか?
  • 難しい、本質的には不可能。
  • 増加量(変化量)を一定と仮定して予測
  • ある物質が蓄積されるかどうか(長期間の影響を与えうるか)の評価はある程度できそう
    • ”予測不可能割合”の導出
  •  情報量を稼ぐ
    • 体内の常時モニタリング
    • (既に添加物などが一般化している場合は)多くのサンプルを採る
○ある物質が生体に与える影響の予測と安全性評価
 「ある物質の蓄積しやすさのデータ」があれば代謝経路のデータから予測できそう
  • 「安全」を恒常性(ホメオスタシス)が維持できると考えるなら…
    • 蓄積する物質という摂動があった時に、
    • 代謝パスウェイがどのように変化するか、アウトプットはどうなるかを予測
  • 予測のレベル
    • 発現量が変化した場合どうなるか
    • 他の遺伝子などの要因が追加で関わってきた場合どうなるか
→現状では定量的な予測をすることが難しい
  •  安全でない場合は説明しやすいが安全を担保するのは難しい

まとめ

食品添加物などの安全性をデータから迅速に判断しようとした時、長期的な影響をどう予測するか、生体内の現象を定量的に予測できるかという問題に直面すると考えられる。生体に影響を与える物質についての情報の蓄積や、より分子生物学的でリアルタイムなモニタリング技術、生体内の現象を定量的に扱えるモデルの登場が待たれる。

2015年2月17日火曜日

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/04) Snip snip

担当:池野
参加者:8名

論文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7516/full/nature13695.html

概要:
ガイドRNAを介した切断と多重相同組換え修復を用いて、ゲノム領域の飽和編集を行うことができる。これにより引き起こされる多数の変異の影響を測定することで、高分解能での遺伝子機能の解明や重要性が不明なバリアントの解釈の助けとなる。


議論点:ゲノムベースの機能予測・シミュレーションは可能か

現時点で確立されている手法
◆実験などによる知識を利用したもの
 ・タンパク質の立体構造の予測
  ・既知のタンパク質の配列との類似性から予測
   ⇒配列が似ているならば構造・機能が似ていると断定して良いのか?
  ・ポテンシャルエネルギーが最小になるような構造を計算することによる予測
 ⇒構造予測は機能予測につながる

◆実験などによる知識を利用しないもの
 ・MDによるシミュレーション
  ・計算コストは大きい
   ⇒近似的な予測はできないか?
    ・水分子の近似をする手法は存在している
    ・MDの計算を知識によって置き換えることはできないだろうか

MDについて
 ・計算可能な時間スケールは現在マイクロ秒程度
 ・長い時間でのシミュレーションが可能になると
  ・初期値決定のシビアさの緩和
  ・生体の反応は現在の計算可能な時間スケールよりも大きいスケールで行われる
   ⇒実験での観察結果との整合性が取れ、MDの妥当性を検証できるようになる
 ・MDは化学反応を起こせない
  ・電子レベルでの動きまで見れるようにできるだろうか
   ・量子力学を取り入れる必要性


まとめ:
ゲノムベースでの予測ということで、既知の知識を利用する手法となるべく利用しない手法があると考えられた。MDは、今後コンピュータの計算能力の向上にともなってより大きな時間スケールや高分解能でのシミュレーションが可能になると考えられる。


[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/11) King of the swingers

担当:小澤
参加者:8名

概要:
テナガザルのゲノム解析から,種特有トランスポゾンがもつゲノム可塑性を示唆

議論:
系統樹の正当性の考え方


過去は,表現型から系統樹を考えていた
今は,遺伝型から系統樹を定量的に考えることができる

2つの系統樹の間に生まれるギャップをどのように解釈するか


そもそも系統樹とは?
・利用目的によって作り方が違う 使用する種
 祖先の種や年代の推定が可能

・主に最尤法によって計算される
・計算の上で,知識による定義が使われる(分子時計など)

・有根と無根の2種類がある (起源がわかるかどうか)


昔は,表現型から,感覚的な区分しかできなかった
遺伝型からの推測が可能になり,(系統樹内の)葉がもつ配列の進化の歴史が見える
- その上で,変化に対する解釈には,地理的変動などの過去の背景知識が必要
- 最尤法による計算のため,偶発的な同座位への変異経過が見えなくなってしまう
   -> 遺伝型の違いを見るのには問題はないが,進化プロセスを見る点では問題がある

2015年2月10日火曜日

[MBC2014] Nature Podcast(2014/08/28) These fins are made for walkin'

担当:寺嶋
参加者:9名

本文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7516/full/nature13708.html

概要:
初期の陸生四足動物に近い種であるポリプテルス・セネガルスを湿地で飼育することで、古代の初期の陸生四足動物と類似の胸帯の変化を確認。この結果より、発生可塑性と魚の陸生化の関係が明らかになった。

議論点:
両生類の利点とは
- 乾燥に弱く、水が無いとダメ
 - 水を得られないリスクがあるにも関わらず陸へ適応する意味
  - エサの確保
  - 逃げるときに有利
  - 一部の生物は陸上に卵を産める
   - 水中の外敵からは守ることが出来る
   - 多様性は高いが、結局は水がいる
  - 水場と水場の間を長距離移動できる
   - 多少水が少なくなっても対処できる

- 幼生のときにはエラ、変態して肺が出来る
 - 水中の方が エサの確保が容易
  - 自分よりも弱い生物がいろいろいる
 - 運動能力があまりいらない
  - 水中なら浮いているだけでもいい
 - エネルギー消費が少ない
  - 単純なので省エネルギー
  - 途中で変態するのが単純かどうかは不明

- 他の種との比較
 - vs 爬虫類
  - エサの確保できる範囲が広い
  - 逃げられる場所が多い
 - vs 魚類
  - 水を求めて長距離移動できる

- 進化するとしたら?
 - 乾燥に強くなる
  - 水中で生まれて変態する時点で難しそう
 - 海へ進出
  - 気水域には既にいる
  - 化石からは昔はいたらしい

まとめ:
水生から陸生への変化の話題でしたが議論点は両生類についてでした。両生類は進化の途中で残っているだけという説もあり、今後の絶滅しそうとのことなので、環境の保護は大事だなと思いました。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/08/21) What lies beneath

担当:小舘
参加者:9名

リンク:http://www.nature.com/nature/podcast/index-2014-08-21.html

概要:
南極の氷の下に存在する液体の水を直接採取したこと、その微生物学的解析を初めて行ったことについて述べられている。

議題:環境と生物多様性との関係
→厳しい環境に置かれると、生物の多様性はどうなるのか?


★話題1:環境の厳しさと多様性に関係はあるか

●厳しさ=選択圧の強さ だろう
→厳しくなるほど多様ではなくなるのでは?

●厳しくなるプロセスが大事?
・だんだん厳しくなっていく:適応していって多様になる
・一気に厳しくなる:(少なくとも一時的に)多様性はなくなる

●カンブリア爆発:一気に多様化?
・(仮説)目が出来たことによる(それさえあればよい)


★話題2:どういう条件が効いてくるか

●環境の厳しさ ⇔ そこでの生き方(ニッチ)の少なさ
→多いほど多様化

●安定には生き残らない→多様化

●今回の解析:約4,000種の細菌・古細菌
・栄養乏しい
・太陽光届かない
・炭素成分を食べて生きている
(4,000という数字は大きいのか小さいのか?)

●そこに適応するなにかがあれば多様化?

●栄養源からの距離が効くのでは?


まとめ:
南極氷底湖という非常に厳しい環境の生態系という話題から、環境の厳しさと生物との関係という議題が出た。他の厳しい環境下での生態系も調べて比較すると面白そうである。