2018年5月28日月曜日

細胞の分子生物学 第5章前半「DNAの複製」

担当:三好
参加者:9名

概要
 

  1. 短期間の生存を考えると、細胞はDNA内に変化が起こることを避けたほうが良いが、種の長期的な生存にはDNAシーケンスは可変であることが望ましい。細胞はDNAを守ろうとしますがまれにDNAシーケンスの変化は起こります。このような変異が起こる確率は観測できるだろうか。虫やバクテリアなどによる実験室内での観測をによると、10^9ヌクレオチド中1つの割合で変異が起こるらしく、このことから変異はとてもまれなものだと分かる。
  2. さて、このDNA複製メカニズムは,一秒間に1000個のヌクレオチドの速さで複製が行われているのにも関わらず、どのようにしてこのような高い正確性を持たせることができるのだろうか。これには、娘のDNA鎖を親(template)から作り出すとき、2段階の誤り訂正が行われているからである。まず第一段階として、合成中の鎖に、ヌクレオチドが付加される直前にDNAポリメラーゼが行う。ポリメラーゼというのは、その単量体(monomer)を結合させて重合体(polymer)を合成する酵素である。ポリメラーゼよって、ヌクレオチドの付加を触媒する前に、正しい塩基対の立体構造のとき活性部位を閉じる反応がより起こりやすいことを利用して、塩基対の配置が正しいのか確認するように働く。二段階目の誤り訂正は、エキソヌクレアーゼ活性によるものである。これは、簡単に言えば塩基対形成しないような塩基をこの活性によって切りとるような反応である。このエキソヌクレアーゼ活性は、DNA複製が5’から3’方向にしか起こらないことを説明する裏づけにもなっている。将棋や囲碁で言うところの、「待った」のような機能であると私は思った。このような修正機構をもったDNA複製機構は、RNA合成やnRNA合成の翻訳過程の誤り率の10万分の一であり、驚くべき制度といえる。
  3. DNA合成は最初短いRNA分子を使って、Y字フォークのリーディング鎖でまず一時的にプライマーRNA分子を使って始まり、そのプライマーRNA分子はDNAに置き換えらる。線上DNAのいちばん端では、プライマーRNAを作る余地がない。細菌はこの問題を染色体を環状DNAにして解決している。一方で、真核生物は、染色体の末端に特定の塩基配列をおいて、テロメアを構成するやりかたで解決。ヒトの体細胞ではこのテロメア反復配列が各細胞に備わる計数装置となって, 成体組織で“不良" 細胞が際限なく増殖するのを防ぐ役をしているという考えがある。

議論:
不老は実現可能か

"老い"とテロメア
・真核生物は染色体の末端にテロメアを置く 
テロメアはろうそくのように寿命を定める
テロメアは真核生物にとって不良細胞が増殖するのを防ぐ役割(例:がん)
・菌類は染色体を環状DNAにして解決
菌類はある意味"老い"ない
何億年も生きてきた大腸菌の固体が存在する可能性
一方で、われわれの生殖細胞は何億年も変わらない(生殖細胞は不老?)

"老い"のメリット
・リソースの問題
人口が増えすぎると食料が枯渇する
・環境適応の問題
新環境に適応するための変化を、一世代のみで行うよりは新たな固体を産み出す過程において生じる変化を利用して、つまり多世代で行うほうが効率よい

まとめ
コピーを繰り返す細菌のなかには、ある意味"不老"の固体がいるだろう
一方で、真核生物にとって、"老い”は種全体として新たな適応に対応するための重要なメカニズムであり、必要不可欠である


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