2019年1月22日火曜日

細胞の分子生物学 12章「細胞内区画とタンパク質の選別」4,5節

担当:荒井
参加者:6名

概要
 ペルオキシソームは全ての真核生物に存在する小器官であり、原始の生物において全ての酸素代謝を引き受けていた器官の痕跡であると考えられている。今現在でも酸化作用を担っており、この器官に異常が起きると精神疾患につながる可能性がある。
 小胞体も真核生物に共通する器官であり、細胞質内に広がって存在している。様々な機能を担う器官であり、その機能は領域ごとに高度に専門化されている。また、ミトコンドリアや葉緑体が翻訳後にタンパク質の輸送を行うのに対して、小胞体は翻訳と輸送を同時進行する。小胞体の重要な生合成機能の一つとして、タンパク質への共有結合による糖質付加があり、それによって折り畳みが不完全なタンパク質の不可逆的な凝集を防いでいる。小胞体に輸送されるタンパク質の多く(80%以上)は不完全な折り畳みやオリゴマー状態でないなど分解しなければならないタンパク質であり、それらが小胞体内にたまると小胞体ストレス応答によって対処する。

議題
小胞体がタンパク質の翻訳と輸送を同時進行するメリットとは?

議論点
ミトコンドリアや葉緑体ではタンパク質の翻訳及び輸送は同時進行せず、翻訳が終わった後に輸送される

小胞体でも翻訳後のタンパク質輸送は行われる(酵母の小胞体膜、細胞の細菌膜)
 メリット
  ・タンパク質を小胞体膜に埋め込むことが可能
 デメリット
  ・補助タンパク質としてhsp70が必要
  ・ATP依存となり、エネルギーを消費(これはデメリットとして大きい)

シグナル仮説
 リボソームを翻訳するとシグナル配列が出現し、転送装置まで導かれる。その後に翻訳と輸送が同時に行われる(細胞質内で翻訳されるリボソームも存在する)。

まとめ
 ATPを消費することなくタンパク質の輸送が可能、補助タンパク質無しでの輸送が可能であるという点が翻訳・輸送の同時進行による大きなメリットであると考えられる。一方で、タンパク質を小胞体膜に埋め込むなど同時進行では不可能な事象も存在するため、翻訳後の輸送を行う場合もあると考えられる。

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