2018年7月18日水曜日

細胞の分子生物学 第7章 「遺伝子発現の調節」 4,5節

担当:相澤
参加者:7名

概要


動植物の様々な細胞は、細胞の型ごとに異なる遺伝子セットを転写する仕組みで主に作り出されている。高等な真核生物では各型の細胞に特定の転写調節因子セットが存在し、その細胞型に適した遺伝子群のみが確実に発言するようになっている。また、専門化した動物細胞は細胞分裂を繰り返しても、また培養増殖下でも固有の性質が維持できる。よって遺伝子調節機構は安定で分裂後も受け継がれる。転写調節因子が自ら永続的に合成できるような直接または間接的な正のフィードバックループは細胞の記憶の最も単純な機構になっている。真核細胞での遺伝子発言記憶パターンを細胞に記憶させるために、受け継がれる形のDNAメチル化やクロマチン凝縮状態を付加機構として使っている。DNAのメチル化はゲノムの刷り込みとも関係している。

議題「ゲノム刷り込みを阻止することでゲノム刷り込み由来の病気の発症を防ぐことはできるのか」

病気の発症の原因は活性を持つ遺伝子が変異、かつゲノムの刷り込みが同時に起こることにある。そのためゲノムの刷り込みを阻止すれば発症は抑えられる。
ゲノムの刷り込みをなくすためには、まずゲノムの刷り込みの存在理由を知る必要がある。存在理由としては議題では二つの説が上がった。

一つは無為生殖を無くすためという説である。ゲノムの刷り込みがなければ必ず両親の遺伝子が必要であり、無為生殖がなくなることで種の多様性を保つことができる。しかし無為生殖は高等な生物の一部で度々起こることが確認されていることであり、無為生殖が生物全般で防ぎたいことであるなら、ゲノムの刷り込みが有胎哺乳類のみで起こることと矛盾している。

もう一つは、大きな子供を残したい雄と大きな子供を残したくないメスの妥協点であるという説である。ゲノムの刷り込みの多くは胎児の成長に関与するで起こり、雄由来の遺伝子で胎盤の形成の決定をしメス由来の遺伝子で子供のサイズを決定する。これは雄としては自分の遺伝子を残したいために子供ができるかどうかを決定させ、雌は自分の身の安全の上で子孫を残したいため子供のサイズを決めていると考えると辻褄が合う。
また胎児目線だと自分の体の大きさを決める上で母体の遺伝子の基づいた体のサイズ決定をすることが最適解と考えられる。これは有袋哺乳類だけで起こることとも矛盾がないが、胎盤の形成の関与する遺伝子が雄由来であることの理由が弱い。

まとめ

議題の結論としては、ゲノムの刷り込みを阻止すれば、病気の発症を防ぐことは可能である。しかし刷り込みを阻止することを考えたときに、ゲノム刷り込みの存在理由が曖昧であり阻止して良いとは言い切れない。したがって発症を無くす第一歩として存在理由を明らかにすることが必要である。

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