2018年7月13日金曜日

細胞の分子生物学 第7章 「遺伝子発現の調節」 1,2,3節

担当:矢後
参加者:7名

概要

様々な細胞の違いは発現している遺伝子の違いであり、細胞が発生する過程でこの発現する遺伝子の調節が行われている。この調節で最も重要なのはRNA転写の段階である。転写調節因子がDNAの特定のシス調節配列を認識することで、どの遺伝子を発現するかどうか(オンorオフ)を決めるのである。その仕組みとしては、調節因子がシス調節配列に結合すると、状況によってその遺伝子にRNAポリメラーゼが結合できないようにして、RNAの転写が行われないようにしてしまうのである。

議題

細胞がDNAを変化させずに分化する理由
言い換えると、なぜ細胞ごとに異なるDNAを持つようにはならなかったのか

メリット、デメリットとして上げられた意見

メリット

・DNAを変化させないほうが遺伝が容易いのではないか。
(これについては、生殖細胞だけが全情報を保持すれば良いのではないか、という意見も出ている)

・ヒトデ、プラナリア、またはiPS細胞の例ように、細胞分化によってあらゆる細胞になることができる仕組みが成り立つ。

・環境適応(環境によって遺伝子発現の調節を変えること)が可能になる。

デメリット

・1つの細胞に全ゲノム情報があると、サイズの無駄になるのではないか

ゲノムを再編成するにしても、結局はそのための機能が必要なのではないか

初めは「遺伝子発現を調節」 vs 「細胞ごとにゲノムを再編成」の議論かに思われたが、結局は後者も、細胞ごとに決まったゲノムを再編成するためには調節の機能が必要なのではないか、という意見が出た。

免疫細胞は実際にゲノムを再編成する

免疫細胞の中には、ゲノムを再編成するものも存在する。
それぞれの細胞が限られた対象(抗原など)に反応するように、つまり機能を特化させる目的で、ゲノムから余計な部分を削るのである。

まとめ

細胞分化の過程でゲノムを再編成するのは、再編成の調節機能も必要になるため、免疫細胞のような一部を除いては無駄なのかもしれない。
唯一のデメリットとして挙げられた「1つの細胞に全ゲノム情報があると、サイズの無駄になるのではないか」という問題については、実際にどれほどのサイズが必要なのか考える必要があるだろう。

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